【特集2】新たな調達先としてタイを開拓 国産SAF拡大へ航空会社などと協業
海外の調達先を広げながら、SAFへの国産木材の活用を進める住友商事。
研究機関や企業とタッグを組み、本格導入への動きを加速させている。
【住友商事】
住友商事はバイオエタノール事業として、米国とブラジルに続く調達先の確保や日本国内で木質バイオマスを原料とするSAF(持続可能な航空燃料)の開発などを進めている。
同社が新たな調達先として注力するのがタイだ。タイは糖蜜やキャッサバを原料としたバイオエタノールを自国向けに製造する。しかし近年、政策の転換や中国製EVの台頭などの影響で消費量が減少している。グリーンケミカルSBUバイオケミカルチームの巽彩乃マネージャーは「タイの生産者は国内需要の減少分を輸出で補いたい。日本への輸入を目指す当社と考えが一致する」と経緯を話す。
タイ産バイオエタノールの価格や品質は基準をクリアしている。ただ、日本の需要家が留意するのは、本当に環境負荷の低い製品かという点だ。そこで同社はLCA(ライフサイクルアセスメント)の調査を開始した。LCAは製品の原材料の採取から廃棄までの全過程で環境負荷を評価する手法。米国やブラジルでは同データを需要家に提供している。昨年8月、東京大学未来ビジョン研究センターの菊池康紀教授と共同研究契約を締結。タイで取得したカーボンインテンシティ(炭素強度)に基づきLCAの算出を進めている。同部署の津村真生マネージャーは「タイは小規模農家が多く、データ取得に苦労することもある。この成果を論文として発表し信頼性のあるデータであることをアピールしたい」と意気込む。
JALとエアバスが参画 需給に関わる事業者が連携
国産木材によるSAFでは、同社と日本製紙、Green Earth Institute(GEI)が2023年2月に「森空プロジェクト」を立ち上げ、今年2月には3社で製造販売の合同会社(JV)設立に関する合意書を締結した。3月には日本航空とエアバスが同プロジェクトに参画し需給に関わる事業者同士が連携した。バイオマスエネルギー事業ユニット第二チームの阿部亨マネージャーは「同JVで日本製紙岩沼工場(宮城県)にパイロットラインを建設し年間1000㎘規模で生産する計画だ。上流から下流まで一堂に介すことで国産SAFの活用が本格化するアピールにしたい」と語る。
全世界で進む自動車と航空燃料のカーボンニュートラル化。住友商事は新規事業にいち早く挑み、先行することを目指す。

提供:日本製紙