【電力中央研究所 平岩理事長】持続可能な未来に向け 研究成果を創出し社会実装を目指す

2025年4月1日


国内外の機関と連携 情報発信を強化

志賀 外部機関との連携について教えてください。

平岩 研究成果の社会実装には、国内外の機関とお互いの強みを生かした連携の強化が必要になります。例えば海外機関では、EPRI(米国電力研究所)、EDF(フランス電力)、OECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)などとトップレベルや研究者の交流、包括的研究協力協定締結などにより、連携を強化しています。

当所は電気事業の産業研究機関として電力会社との連携を主とし、コミュニケーションや成果の提供に努めてきました。将来、電力システムに多くのDERが接続され、アグリゲーターなど多様な事業者が需給調整に関与し、安定供給を維持する重要な役割を担うことになりますが、その自覚と責任を持ち、ルールを守り、広域機関や送配電事業者と協力していくことが必要です。そのため、関係者の相互理解へコミュニケーションを深める必要があると考え、昨年、電力会社以外の多様な事業者や学識者にも参加いただき、DERの活用とグリッドの最新技術に関するセミナーを2回開催し、有意義な議論を行いました。

志賀 理事長が就任してからは、情報発信にも一段と力を入れています。

平岩 エネルギーや電力システムへの関心が高まり、SNSなどで多くの人が自分の考えや情報を発信する中で、当所が学術研究機関として科学的客観性に基づく情報を分かりやすく発信する重要性が高まっていると考えます。そこで次世代を担う世代を含め幅広い層に向けて、SNSや動画などを積極的に活用し、インフルエンサーとも連携して効果的な情報発信に努めています。昨年秋の横須賀地区の研究所公開では、人気インフルエンサーが属する「QuizKnock(クイズノック)」とコラボし、地元の小中学生を中心にクイズ形式で電気を学べるイベントを開催し、その様子をSNSなどで発信しました。

インフルエンサーとコラボしたイベントを開催

志賀 最後になりますが、今年は創設者である松永安左エ門の生誕150年だそうですね。

平岩 松永翁の「産業研究は知徳の練磨であり、もって社会に貢献すべきである」という理念は電中研のミッションを端的に表わしています。当所はこの理念を受け継ぎ、物事の理の究明に誠実に取り組み、電気事業とその先にある社会に常に思いをいたし、研究成果を創出し、社会実装につなげていきます。

志賀 大いに期待しています。


対談を終えて

穏やかなまなざしで第7次エネ基の評価を語るが、系統畑を歩んできただけに、安定供給実現への調整力や慣性力確保に対する冷静な分析が光る。電力を取り巻く環境が激変する中で力を入れるのは、外部機関との連携と情報発信だ。多様な事業者が需給調整に参加し、エネルギーへの関心が高まる中で、科学的で客観的な分析を強みとする電中研の重要性は増している。(聞き手・志賀正利)

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