rDME混合LPガスでWG設置 業界一体で30年本格導入を目指す

2025年4月10日

【グリーンLPガス】

カーボンニュートラル(CN)なLPガスの社会実装を目指す、グリーンLPガス推進官民検討会(座長=橘川武郎・国際大学学長)が3月3日、都内で第8回会合を開いた。事務局を務める日本LPガス協会は、rDME(リニューアブル・ジメチルエーテル)を混合した低炭素LPガスの実用化に向け、新たに設置したワーキンググループ(WG)の活動を4月に開始し、本格導入の目標を2030年とする方針を示した。

検討会ではLPガスグリーン化の指針が示された

冒頭、あいさつした資源エネルギー庁燃料流通政策室の日置純子室長は、グリーンLPガスが第7次エネルギー基本計画に次世代エネルギーとして位置付けられたことを紹介。バイオ由来のrDME混合を含めたグリーン化への取り組み支援が盛り込まれたことに触れ、「協会が一丸となってCN対応に取り組めるよう、政府として後押ししていきたい」と強調した。

WGでは、大阪大学大学院工学研究科の赤松史光教授を座長に、品質検討、出荷設備、環境評価、渉外の4部会体制で課題を検討する。日本ガス機器検査協会(JIA)や、国内で唯一DME製造プラントを有する三菱ガス化学などと連携し、卸売事業者や需要家といったオフテーカーにも参画を促す。

当面の重点活動として、品質検討部会の下で、燃料電池や家庭用コンロを用いた燃料試験による混合割合の上限値の設定を検討するほか、ゴム配管への安全対策、新たな品質基準に基づくJIS(日本産業規格)およびISO(国際標準化機構)規格の改定作業に着手する。

30年の実用化に向けたロードマップでは、26~28年にJISやISO規格を改定するほか、出荷基地や流通・配送面での検証などに取り組むことで、28~29年には小規模での実証試験を開始する計画だ。


WLGAが成果を発表 混合率20%で検証進む

会合ではこのほか、世界リキッドガス協会(WLGA)が既存インフラに影響を与えずに混合できる「ドロップインブレンド」の検証結果を報告した。すでに混合率12%までは問題がないことを確認し、現在は最大20%混合のLPガスによる運転試験を実施している。暖房機を用いた試験では機器の運転に支障は生じず、一酸化炭素や窒素酸化物の排出量が減少した。今年は、経年機器やガスエンジンなどに対象機器を広げ試験を行う予定だ。

今回示したrDME混合利用に関する明確な指針を下地に、業界が一体となって、LPガスのCN化に向けた動きを加速させる方針だ。