【現地ルポ/4月23日】下北の原子燃料サイクル施設〈前編〉 使用済み燃料を中間貯蔵するRFSを特別取材
再処理工場稼働までの「橋渡し役」にも
日本は原子燃料サイクル政策を推進し、使用済み燃料を再処理して利用する計画を立てている。この中間貯蔵施設は、再処理工場が稼働するまでの「橋渡し」の役割も果たす。同じ下北半島の六ヶ所村にある日本原燃の再処理工場は26年度中の運用開始を目指している。RFSに保管される使用済み燃料は再処理工場に搬出され、再加工されて約9割は再び発電燃料となり、残りは将来的に高レベル放射性廃棄物として深い地下への処分が予定されている。
またRFSは使用済み燃料の永久的な保管場所とならないよう、青森県とむつ市との協定で事業期間が区切られている。昨年11月の事業開始から50年間、74年までに1棟目での保管は終わる予定だ。金属キャスクについては現在の1基に加え、今年2基、26年5基、27年7基の受け入れが計画されているが、それでも合計15基に過ぎない。288基程度の受け入れ可能量まで、まだまだ余裕があるのが現状だ。実際、建屋内に入ると、頑丈なコンクリートで仕切られた広大な空間には何もなく、がらんとした荒涼感が漂う。50年期限へのカウントダウンがすでに始まった中で、KKや原電東海第二発電所の再稼働によってRFSの有効活用が進展することが期待される。
一方で、全国の原子力発電所を見渡すと、施設内での使用済み燃料の保管が限界に近づきつつある発電所が、東電HD、原電以外に存在する。そうした事業者からの燃料受け入れについて、RFSは「出資2社の燃料を受け入れるのが当社の業務」との立場だ。とはいえ、事業開始を契機に、国や自治体の理解、調整が進んでいけば、新しい動きが出てくる可能性も否定できないだろう。
RFSは透明性の高い運営を約束し、住民説明を行い、県や市の調査を受け入れている。2000年の建設計画スタート当初から地元の自治体、多くの人々と協力関係にあり、さまざまな意見はあったものの、激しい反対運動はほとんどなかった。その意味では地元との信頼関係はしっかり構築されていると言っていい。RFSの一杉義美地域交流部長は「住民の皆さまのご理解、ご指導の下で、安全に保管実績を重ね、原子力発電、原子燃料サイクルを支えていくように、社員みんなで頑張っていきます」と抱負を語る。