LPガス問題をテーマにシンポジウム 実質的な取り締まりの可否が焦点
【LPガス問題を考える会】
LPガス料金の透明化・適正化を求め、北海道消費者協会・北海道生活協同組合連合会などが中心となって結成した「LPガス問題を考える会」が主催するシンポジウムが3月26日、札幌市内で開催された。シンポジウムでは、学識者や行政、事業者の関係者らが一堂に会し、液化石油ガス法改正省令を巡る業界の現状と問題解決策について報告を行い、全国の業界関係者ら158人がオンライン配信を視聴した。

基調講演した橘川武郎・国際大学学長は、「形式的に三部料金制をクリアすることよりも、いかに過大な営業行為を実質的に取り締まることができるかが商慣行是正の焦点となる」と指摘。「資源エネルギー庁が過大な営業行為の基準について、他の事業分野の事例に照らして正常な商慣習に相当するかどうかと踏み込んだ解釈を示したことは、非常に大きな前進だ」と評価した。
資源エネルギー庁燃料流通政策室の日置純子室長は、省令改正の第二弾として4月2日施行された「三部料金制の徹底」についての考え方を解説。施行後も集合住宅における既契約については、外出し表示をすることで設備費用をガス料金に上乗せできる状態が続くが、「投資回収後、事業者にはどのように新しい料金体系に移行していくのか考えていただく」と、いずれは全ての契約が新たな料金体系に切り替わるはずだとの認識を示した。
関係者の逮捕も ブローカー規制の是非
LPガスの営業を巡っては、事業者と委託契約を結び営業専門で活動するブローカーが問題を引き起こすことがある。直前に関係者が特定商取引法違反で逮捕される事件が発生したこともあり、今回のシンポジウムではブローカーを巡ってもさまざまな意見が出た。
橘川氏は、「商慣行をゆがめる要因の一つだ」として、「事業者に属していないとはいえ、ブローカーが暗躍している実態に目を向け規制の対象にするべく踏み込んだ対応が必要だ」と強調。一方で松山正一弁護士は、「ブローカー自体を規制することは難しいが、特商法、景表法(景品表示法)といった関連法規で規制していくことになる」と述べた。 こうした見解に対し日置氏は、「電気事業法やガス事業法に照らし、液石法の説明責任について見直す必要があると考えている。とはいえ、それだけでブローカーの問題が解決するわけではない。こうしたビジネスが成立している根本的な理由を知る必要がある」と語った。