【特集2】国内外の情勢・動向発信に功績 さらに進化したオピニオン誌へ
森 洋/全国石油業共済協同組合連合会全国石油商業組合連合会会長
創刊70周年を心よりお祝い申し上げます。創刊の1955年は、戦後の復旧・復興からわが国が高度経済成長へと向かう過渡期であり、国民生活や経済活動に不可欠なエネルギーの需要の拡大期に差し掛かる先行き不透明な時期でした。そうした中、月刊電力新報として創刊され、以来70年の長きにわたり、電力・エネルギー業界の発展に向け、国内外のエネルギー情勢や業界動向を取材し情報発信してきた功績は、誠に顕著なものがございます。
当会は53年の創立以来、全国47都道府県の石油組合とともに、石油製品の安定供給という社会的使命を全うするため、石油製品販売業者の健全かつ持続的な発展に取り組んで参りました。50年代の戦後の荒廃した国土の復旧、そして産業経済の復興から、60年代の高度経済成長を支え、70年代の二度にわたるオイルショック、80年代から90年代にかけての規制緩和・自由化という激動の時代を乗り越えてきました。さらに、2000年代に入り、内需の減少・販売競争の激化、2011年3月の東日本大震災など相次ぐ大規模災害の発生、そして19年からの新型コロナウイルス感染拡大の中でも、エッセンシャルワーカーとして石油の安定供給に貢献してきました。
「最後の砦」の役割果たす 新たなビジネスモデル模索
しかし、石油製品販売業者は、少子高齢化の進展や人口減少といった社会構造の変化や50年カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みが進む中、引き続き、平時・災害時を問わずエネルギー供給の最後の砦としての社会的使命を果たさなければならないという、大きな課題に直面しています。一方、50年CNに向けたエネルギーのトランジション期でも、石油の重要性は変わりません。
当会では、石油販売業界の7割を占める小規模事業者の視点に立った組織活動を推進し、地域社会に根差した石油製品の安定供給拠点としてのサービス・ステーション(SS)としての役割に加え、CN時代に対応した事業再構築を図り、多様化する消費者ニーズに対応した多機能化、多角化などを積極的に後押ししていくなど、SSの新たなビジネスモデルの構築に引き続き取り組んでいきます。
エネルギー需給体制がぜい弱なわが国では、政策の要諦である、S+3Eの徹底を図りつつ、石油など化石燃料をはじめ原子力、再生可能エネルギーなどの多様な選択肢の追求が求められるなど、エネルギーを巡る国内外情勢は混沌としています。
今後とも、エネルギーの安定供給とエネルギー業界の発展を支えるオピニオン誌として、さらに進化されることを期待し、当会からのお祝いの言葉とさせていただきます。
