【現地ルポ/4月25日】下北の原子燃料サイクル施設〈後編〉六ヶ所再処理工場の最新事情
◆再処理工場しゅん工は26年度中に延期、現時点で順調に推移
日本原燃は、大手電力9社と日本原子力発電が主要株主となっており、日本の原子燃料サイクル事業のバックエンド分野を担う事業者だ。六ヶ所村には本社に加えて、①ウラン濃縮工場(最終規模1500tSWU/年)、②低レベル放射性廃棄物埋設センター(最終規模300万本相当)=、③高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター(ガラス固化体貯蔵容量2880本)、④使用済燃料受入貯蔵施設(受入容量3000t・U)、⑤再処理工場(最大処理能力800t・U/年)=26年度中にしゅん工予定、⑥MOX燃料工場(最大加工能力130t-HM/年)=27年度中にしゅん工予定――6施設が立地している。

中でも注目の再処理工場については、現在26年度中のしゅん工を目指し、新規制基準の審査の真っ只中だ。日本には23年12月末時点で約1万6600t・U分の使用済み燃料がある中で、年間800t・U分の処理を行う能力を持つ(これまでの試運転で425t・U分を再処理済み)。日本は使用済み燃料の量を減らし、その中に含まれるウランやプルトニウムといった放射性物質を厳格に管理することを国際公約にしている。再処理工場は、使用済み燃料からプルトニウムを抽出し、プルサーマル発電向けのMOX燃料に加工するという重要な役割を担うものだ。日本の原子力発電を持続可能なものにするための施設と言っていい。

再処理工場は、1993年に着工したものの、現在までしゅん工予定が27回延期されてきた経緯がある。直近の延期の理由は3.11を踏まえて2012年に原子力規制委員会、原子力規制庁が設置され、規制体制が一新されたことが一因だ。13年12月に施行された新規制基準では、巨大地震や津波など大規模な自然災害への対策や重大事故対策が追加され、それに基づく再処理施設でのルールづくりや工事に相当な時間がかかった。20年に新規制基準に基づく事業変更許可の審査に合格し、22年12月までに第1回の「設計および工事の計画の認可」を受け、第2回の認可に向けて審査に対応している。日本原燃は昨年8月、今後の審査、工事および検査の期間を考慮し、新たなしゅん工時期の目標を「26年度中とする」として27回目の延期を発表した。
同社は、今度こそ目標時期に稼働を開始するための努力を続けている。大手電力各社に応援を頼んで規制対応の助力を受けている。また各設備の主要担当者を体育館に集め、一緒に執務させて部門間の連絡を密にするなどの取り組みを行っている。「現時点で工事は順調に進んでおり、特段のトラブルなどがない限り、26年度中にはしゅん工する見通しだ」(日本原燃広報)