【現地ルポ/4月25日】下北の原子燃料サイクル施設〈後編〉六ヶ所再処理工場の最新事情

2025年4月25日

◆27年度中の完成目指しMOX燃料工場の建設進む

現在は日本原燃以外のさまざまな協力企業(約1200社)の関係者約8000人(一日当たりの平均)が、工事のためにここで働く。新規制基準の対応工事に加え、27年度中のしゅん工を目指しているMOX燃料工場の建設に、そのうち約1700人が従事している。MOX燃料とは、再処理工場から作るウラン・プルトニウム混合酸化物を材料にしたものだ。プルサーマルに対応した軽水炉で使われ、プルトニウムを消費する予定だ。兵器への転用を防ぐために、余剰プルトニウムをできる限り持たないことを日本は世界に公約している。

MOX燃料工場の仕組みが分かりやすく紹介されている(PRセンター内)

使用済燃料受入貯蔵施設は、1999年から操業している。放射線を遮蔽するために水深12mのプール内に使用済み燃料が集まっている。受け入れ可能な量はウラン3000t・U分だが、現在は満杯に近づいている。

使用済燃料受入貯蔵施設の貯蔵プール。12mの深さがある
搬入される使用済燃料。海上輸送された後で、専用容器のままこの施設に運ばれる(原燃提供)

また高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターは、1995年から操業しており、英仏の再処理工場で処理され返還されたその廃棄物がすでにある。新規制基準対応の工事が2026年度中に完了する予定だ。このそれぞれのオレンジ色の蓋の下に、キャニスター(ステンレス製容器)に入れられた高レベル放射性廃棄物が入っている。現時点で1830本の容器が、ここにある。容器は熱を持つため、それを利用した自然対流で冷却が維持されている。現時点で高レベル放射性廃棄物の最終処分地は決まっていない。あくまでここは中間貯蔵施設という位置付けだ。

高レベル放射性廃棄物がそれぞれの蓋の下に保管されている

この敷地には、低レベル放射性廃棄物埋設センターがある。1992年12月から操業をしている。原子力発電所から出る従業員の放射線管理区域での作業服等を焼却した灰を200ℓドラム缶に入れて粘土(ベントナイトという種類)を混ぜた土で埋設する。1号埋設地、2号埋設地で、合計39万9000本のドラム缶が置かれており、今後埋設される。今年3月には、3号埋設地が操業を開始した。ちなみにこのような廃棄物の入ったドラム缶は、全国の原子力発電所に2023年度末で約70万本もある。

低レベル放射性廃棄物の埋設状態を示す模型(PRセンター内)

さらに原子力発電向け燃料を作るウラン濃縮工場がある。1992年から2013年まで第一世代が稼働し、同年から第二世代プラントが稼働中だ。新規制基準の認可、工事も終わり、23年7月から運用されている。国内原子力発電所の燃料需要の約3分の1を賄う計画だ。濃縮工場は、技術の軍事転用を防ぐため公開されていない。

原子燃料サイクルの最初の段階にあるウラン濃縮の工程図(PRセンター内)

1 2 3 4 5