【特集2】日本発の技術でCNを訴求 会場内で地産地消モデルを確立
大阪ガス
大阪ガスは地産地消型スキーム構築に向けたメタネーションを実証中だ。さらに、グリーン水素との合成による脱炭素化にも取り組んでいる。
大手都市ガス事業者を中心に、ガス業界が押し進める未来の都市ガス「e―メタン」。今回の「大阪・関西万博」では、この日本発の次世代型エネルギーの意義や展望を世界へ発信しようとDaigasグループが中心となって動いている。
大阪ガスは万博で「化けるLABO」を運営している。環境省委託事業「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築・実証事業」のもと、会場内で発生する生ごみやCO2を利用し、e―メタンを現場で生産し、その現場で消費する地産地消型のスキームを構築している。
4つの方法でCO2回収 会場のバイオマス資源活用
化けるLABOでは、四つのリソースによるCO2を活用してe―メタンを生産する技術に挑戦している。
一つ目のリソースは循環型のCO2だ。会場内から出る生ごみ(バイオマス資源)を廃棄物としてバイオガスプラントに貯める。それを発酵させて発生するバイオガス内のCO2とともに、同時に発生するメタン(CH4)も活用する。
残り三つのリソースが回収型のCO2だ。DAC(ダイレクト・エア・キャプチャー)技術によって空気中から直接回収されるCO2と、オンサイトのボイラー排ガスから回収されるCO2、さらに日本館で得られるバイオガスから回収されるCO2が挙げられる。
回収型の一つ目で活用するDAC装置は、地球環境産業技術研究機構(RITE)がムーンショット型研究開発事業で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託のもと、実証装置として運用している。また、二つ目の排ガスからのCO2回収では産業ガスの製造販売を手掛けるエア・ウォーター(AW)と連携。AWは、このCO2を冷却用のドライアイスにも活用する。三つ目のバイオガスからのCO2回収では、経済産業省が出展する日本館と連携。同館内のバイオガスプラントで発生したバイオガス精製後のCO2を活用する。

一方、CO2の反応相手となる水素は、固体高分子型(PEFC)技術を利用した水電解装置で発生させる。化けるLABOでは再生可能エネルギー由来の電気を使って水電解するため、CO2を発生しないグリーン水素を活用していることになる。こうした循環型・回収型のCO2やグリーン水素を活用することでe―メタンの環境性も担保される仕組みだ。
これらの水素とCO2は、e―メタン生成を促すメタネーション装置へ投入される。ここで使用されるのが、微生物の力を用いるバイオメタネーション装置と、触媒を用いるサバティエメタネーション装置の2種類の設備だ。

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