【特集2】日本発の技術でCNを訴求 会場内で地産地消モデルを確立
大阪ガスのガス製造・エンジニアリング事業部エンジニアリング部戦略企画チームの速水征志さんはここでの仕組みについてこう解説する。
「まずはバイオメタネーション装置でメタン菌と呼ばれる微生物の力によりCO2がCH4に変換されるが、運転条件によっては必ずしも完全に変換し切るわけではない。未反応分を後段のサバティエメタネーション装置を通じて、CH4の濃度を常に都市ガスと同等の濃度にまで高めることができる」
一方、水素とCO2を反応させるメタネーションには化学的な性質上、必ず発熱を伴う。この熱処理のエンジニアリングも技術的には重要なポイントである。「できるだけ反応を促進しようとすると、サバティエメタネーション装置の触媒が効率よく機能する温度帯を維持することが大切になる。そのため、メタネーション装置の反応器の温度管理を行いながらe―メタンを効率良く生産している」。
ここでの生産量は日量で170N㎥程度。一般家庭の約170件分に相当し、会場内の迎賓館の厨房やガスコージェネレーション設備で利用する。
クリーンガス設備の認定 CO2増やさない環境価値
化けるLABOのメタネーション設備はクリーンガス証書の設備認定を受けていることも特徴の一つだ。ガスを消費する需要家は証書を用いることで脱炭素に貢献することになる。
速水さんはe―メタンのメリットや今後の展望について「e―メタンはこれまで業界が長い年月をかけて全国各地に整備してきたLNG基地や都市ガス導管の既存インフラやガスの消費機器をそのまま有効活用できることに大きな利点がある。生産コストなどまだまだ多くの課題を残すが、今回の万博の取り組みで弾みをつけたい」と話す。

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