【目安箱/5月27日】エネルギー産業の新たな顧客「外国人」とどう向き合うか
◆政治紛争にエネルギー産業が巻き込まれる懸念
外国人問題のように、人権などがからむ政治問題は、当事者が熱くなり、批判が先鋭化する。そこに関わる企業、特にエネルギー産業のように社会のあらゆる立場の消費者と関わる企業にとってはリスクだ。人権問題などで会社が大きく批判されれば、会社のイメージ、収益にも影響が出かねない。このジャーナリストは、配慮不足の発言を個人の責任で引き受ければいいが、個人の炎上と企業の炎上は損害が違う。事実を言ったとしても、一部の政治勢力や政治信条を持つ人から攻撃されるリスクを、エネルギー企業は配慮しなければならないだろう。
当然、外国人差別などは許されないし、そんな考えを持つ社員がいるエネルギー会社もないだろう。それどころか日本は外国人に優しい人ばかりだ。しかし、当然、外国人には悪い人もいる。外国人全体の数が増えれば、その悪い人の数も増える。そして欧米では移民による犯罪、また治安の悪化が社会問題になっている。日本にもその兆しがある。
企業経営の中で、当然、その事実を直視しなければならない。不払いの問題、そして従業員の問題、言葉と習慣などの違う外国人の接客などの問題だ。しかし各社とも、多言語パンフレットの準備程度にとどまっているようだ。
◆購買層として、労働者として外国人労働者に向き合う
一方で、外国人労働者の増加は、暗い側面ばかりではない。新しいビジネスの可能性も増える。日本に新しく流入する外国人労働者は、勤労世代の若い男が中心だ。当然購買意欲も高い。インフラ企業では、NTTがこうした外国人ビジネスに積極的だった。外国人は必ず本国に連絡をする。ネットのない時代の電話、さらに2000年代までは、その回線販売、その後は携帯販売を積極的に行なった。
またインフラの整備、老朽化対策で、人手が不足気味だ。筆者は少子高齢化、地方の衰退の中で、インフラを縮小・集約するまとめる動きが合理的であると思う。しかし、日本の社会、そして政治は、そうした切り捨て嫌がる。したがって、インフラ・エネルギー産業も全ての地域でサービスを提供する経営を続けざるを得ないだろう。外国人は、そのインフラ維持のために、働いていただく必要が増える。現在、エネルギー産業で、下請け、外注の建設業を含めて外国人を積極的に雇用している例は聞かないが、今後、真剣に検討しなければならないだろう。
日本政府は「移民政策はとらない」としながら、外国人の大量受け入れ政策に転換している。今後、政治的には論争をはらみながら、この問題は大きくなっていくと思われる。エネルギー産業は、大量に増える外国人との付き合い方を考えるべき時が来ている。早め早めの対応が必要だ。
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