【特集2】初期投資ゼロで大型設備群を構成 高度医療機関への安定供給支える

2025年7月3日

再開発地で需要拡大 未整備エリアに導管新設

一連のエネルギー設備群が集約されているエネルギーセンターに中圧導管で都市ガスを供給するのが今回、TGESと連携した沖縄ガスだ。

「本格的な供給が始まったのは今年4月なので推定にはなるが、年間を通して当社のガス供給の最大量(の供給先)になる見通しだ」。沖縄ガス特需開発部特需開発課の平良恒課長は話す。その規模は同社供給量の6~7%に上るそうだ。

今回、供給を開始するに当たって沖縄ガスは、中圧導管の延伸という大きな経営判断を下した。普天間がある宜野湾市は、同社にとって導管未整備の供給エリア外だからだ。

その一方で、普天間の再開発エリアや導管沿線には需要拡大のポテンシャルがある。今回の医学部・大学病院に加え、今後は住宅街区や商業施設の新設も検討されている。さらに導管沿いには石油の需要家も数多く存在し、ガスへの燃料転換のニーズも見込まれる。

そうした経緯から、沖縄ガスは6・3kmの中圧導管を敷設。同時に那覇市内にある本社には、ガス圧力調整のためのLNGサテライト設備を新設し、供給安定性を高めた。そして、「これらのインフラ整備が奏功した」と話すのは、特需開発部部長の武島千浩取締役だ。

「将来的には宜野湾市内への供給を本格的に進めたい。また、県内の商業施設では(TGESと)GHPによるエネサービスを展開した事例があるが、今後もコージェネを入れるような大きな案件があれば連携したい」

琉球大学医学部と琉球大学病院の移転に端を発した今回のESP。今後も、さまざまな連携による需要開拓が進みそうだ。

沖縄ガスの武島氏(左)と平良氏

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