【特集2】国際線ターミナルにコージェネ 空港の脱炭素化に貢献

2025年7月3日

【西部ガス】

福岡空港は九州・西日本の拠点空港として国内線28路線、国際線24路線が就航し、国内外の交流を支えている。増えるインバウンド需要とともに、アジアのゲートウェイとしての機能も求められるようになり、2022年から国際線旅客ターミナルの増改築が進められてきた。


今年3月28日にグランドオープンを迎えた同ターミナルには、ガスエンジンコージェネ(400kW×1台、ヤンマー製)が導入された。西部ガスが供給する都市ガスを燃料に、空港の多様なエネルギー需要に対応している。

S+3Eの視点も重要 都市開発に欠かせない存在

今回、コージェネを導入した背景にあるのは空港の脱炭素化の推進だ。海外との窓口となる空港では、国際競争力確保の観点からも脱炭素化が急務になっている。


国土交通省は22年3月に「空港脱炭素化推進のための計画策定ガイドライン」、さらに同年12月に「航空脱炭素化推進基本方針」を策定。各空港が脱炭素化実現に向け、具体的な目標や取り組み内容を定めた計画を作成し、実行していくことを求めている。

空港施設のCO2排出削減のため、建て替えや増築時における省エネ対応もその一つだ。そこで今回、既存の熱源設備を一新し、新たにコージェネを導入。6~10月の夏季電力ピーク時間帯の電力使用量を抑制し、ピークカットを達成した。電力需要の平準化の他、廃熱を空調に利用することが可能になり、省エネが実現。電力コストの削減にもつながった。

国際線ターミナルにエネルギー供給するコージェネ


また、電力の大量消費者ともいえる空港の運営には、今後はS+3Eの考え方も必要となる。安全性(Safety)の確保を大前提に、エネルギー安定供給(Energy Security)を第一として、経済効率性の向上(Economic Efficiency)と環境への適合(Environment)のバランスを取ることが重要だ。こういった見方を実現しているのがコージェネだと言える。


現在、福岡では、空港の他、都心部でも大規模な再開発プロジェクトが二つ進行中だ。このうちの一つ「天神ビッグバン」の目玉「ワン・フクオカ・ビルディング」が今年4月に開業した。街の新たなにぎわいの中心となっている。ここにも、西部ガスが都市ガスの供給を行い、コージェネが活躍している。


都市の成長は人々を引き付け、街のさらなる発展につながる。福岡市は政令指定都市の中でも人口増加率が高く、より多くのヒトの往来やモノの流通を支える準備が整ってきている。コージェネはこれからの福岡の発展に貢献していきそうだ。営業本部・福岡都市開発部の鈴木田渉氏は、「都市の再開発には欠かせないものとして今後ますます注目されていく」と期待を寄せている。