アフリカで広がるビジネスチャンス 電力セクターで民間投資活況

2025年8月4日

今夏にTICAD開催 若者との接点築く

日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担うJICAは、アフリカのこうした目覚ましい成長の土台を支えてきた。1993年には日本政府が国際連合とともに第1回アフリカ開発会議(TICAD)を東京で開催。以降、国際社会の指導者が、アフリカ開発のあり方と具体的な取り組みを議論・合意する国際フォーラムとして定着した。JICAアフリカ部計画・TICAD推進課の吉澤啓シニアアドバイザーは、「JICAは他国に先んじてアフリカとの会議の場を設けた。貧困対策だけではなく、自律的な経済発展を促す支援の重要性をいち早く訴えてきた」と強調する。

TICAD債の充当先であるケニアのオルカリア地熱発電所
提供:国際協力機構

2019年には、第7回TICADに合わせて、JICAが資金調達しアフリカでのインフラ整備や教育支援などに充てる「TICADボンド」を発行。120億円という債券発行額が国内投資家の高い関心を集めた。今年8月には「アフリカ・TICADボンド」に名称を変更して、2回目の発行が予定されている。230億円と額を倍増させる計画だ。JICA財務部の高畠千秋氏は、「アフリカの開発課題の解決には、民間資金の動員が一層重要になる。TICADボンドの発行で、民間セクターの関心を引き、民間投資を促したい」と、その意義を語る。

8月には横浜で9回目のTICADが開催される予定だ。メインテーマは「アフリカと共に革新的な解決策を共創する(Co-Create Innovative Solutions with Africa)」。これに加えて、「若者」「国際協調」も今回のテーマに掲げている。吉澤氏は「アフリカの若年人口は今後も爆発的に増加する。日本の若者との接点を築き、未来を共に創ることが重要だ。分断が進む今の時代だからこそ、アフリカだけでなく欧米やアジアの国々とも連携し、国際協調を打ち出していく必要がある」と述べる。

アフリカ諸国はもはや支援の対象ではなく、未来を共に築くパートナーとして成長している。JICAは、こうした認識の転換を促し、日本がアフリカ諸国と対等な関係を築く中で、持続可能な発展を共有していくことの重要性を訴えている。

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