【特集2】双方向通信端末の導入進む 社内外でDX化の推進に寄与

2025年9月3日

【東洋計器】

東洋計器が手掛ける双方向通信端末「IoT-R」と、その関連サービスが好調だ。DX化を一気に進め、配送の効率化や煩雑な社内業務を改善する。

東洋計器が提供するガス・水道メーター向け双方向通信端末「IoT-R」の販売が好調だ。6月に総出荷台数450万台を突破し、同端末の集中監視運用を代行するマルチセンターの管理件数も400万件を超えたという。早期に、出荷総数と同センターの管理件数双方で500万件を達成し、今後進んでいく都市ガス・水道メーターのスマート化への提案を強化、さらなる件数の積み上げを目指す。

LPガス業界におけるIoT-Rを含むLPWA(省電力広域無線通信)端末を利用した集中監視システムの普及率は、2023年度は50.5%、24年度は60%を超える見通しだ。スマートクラウド事業部の岩﨑広栄部長は「さらに普及させるには、中小販売店の採用をどう推進していくかが鍵となる。卸事業者と協力して進める」と話す。

大手事業者はLPWA通信で得られる毎日検針を活用し、配送業務の効率化を積極的に進めている。ただ、中小販売店はIoT-Rなどの通信端末を採用していないことが多く、いまだに月1回の検針しか軒先在庫の情報を知る手立てがない。配送を担当する顧客先全てに採用しないと毎日検針の真の効率化は実現しないため、同社では、リーズナブルな料金で1件からでもIoT-Rが導入できるサブスクリプションサービスを卸事業者と一緒に展開し普及促進を図っている。

ウェブ明細「ガスるっく」と合わせて利用することで、ペーパーレス化、決済や保安情報・お知らせの配信などが行え、顧客満足度向上と事務作業のDX化の推進にも寄与する。電子請求・決済・督促を行う「ワンショットシステム」では、督促のお知らせや入金確認、遠隔開閉栓までを現場に出向かず事務所内で一気通貫で実行できるため、採用した事業者から好評だ。「特に評価が高いのが、督促業務を軽減できつつ、回収率が上がっている点。督促対象先は3%程度だが、そこに投じる負担は大きく、同システムが業務改善に一役買っている」と岩﨑部長は説明する。

ウェブ明細「ガスるっく」の顧客向け画面

都市ガス版も来年度発売へ 地方ガス事業者がターゲット

同社は来年度、都市ガス版「IoT-RT」を投入する予定。大手都市ガス事業者がスマートメーターの導入を発表したことを受け、地方都市ガス事業者にもこの動きが広まると見込む。同社では、マルチセンターでLPガスと都市ガスを一元管理できることや多様なコンテンツの展開などをアピールして採用につながるよう努めていく構えだ。