【特集2】災害に強いハイブリッド発電機 日本のレジリエンス向上目指す

2025年9月3日

【富士瓦斯】

富士瓦斯は5月、LPガスとガソリンを燃料として使えるハイブリッド型発電機「GeNICO(ジェニコ)」の販売を開始した。

ハイブリッド型発電機GeNICO

LPガスを燃料として選択できる同製品の特長は三つある。一つ目は災害に強い点だ。分散型エネルギーであるLPガスは可搬性に優れ、必要な時に必要な場所で、発電機を稼働させて電力供給ができる。二つ目は備蓄が容易で長時間稼働できること。LPガスは燃料劣化が少ないため、長期間にわたって大量に保存できる。また、長時間の運転も可能だ。三つ目としては、燃焼時にCO2や有害物質などの温室効果ガスの排出が少ないため、環境に優しく利用できる点が挙げられる。

これらの特長から、自然災害の激甚化などにより長時間の停電対策が求められている日本で、一層の活躍が期待されている。同社は、一般企業、病院、介護施設といったBCPを策定・運用している法人や組織、災害時の避難所、個人宅などに対し、幅広く販売していく計画だ。

製造を手掛けるのは自動車部品大手のTRC高田(浜松市)で、本体は中国から輸入したガソリン用発電機を改造して製造する。LPガスが通る経路は国内製造の部品で構成し、安全性にもこだわった。

年1000台の販売目標 新たな普及策を展開

販売の第一号は、これまでも災害用バルクへのLPガス供給などで取引があったI・T・Oで、GeNICO17(発電能力1700W)を50台、OEM供給した。これらは現在開催中の大阪・関西万博へ納品されている。同社は年間1000台の販売目標を掲げ、今後はレンタルやサブスクといった新しい販売方法の展開も進めていく。

サステナビリティ事業本部開発営業部・小林孝一グループリーダーは「将来的にはガソリン・軽油・A重油といった従来の発電機に代わる市場をつくり上げていきたい」と意気込む。LPガス発電機の普及を通じて、災害大国日本のレジリエンス強化に貢献していく構えだ。