【特集2】特約店の支援体制を強化 幅広いサービスで差別化狙う

2025年9月3日

【ジクシス】

LPガス元売り大手のジクシスは、全国の特約店に向けた支援体制を一層充実させている。販売・マネジメントに関する研修を中心に、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やガス以外のサービスの拡充などにも注力。特約店の担当者と密にコミュニケーションを取りながら、事業所ごとの課題や潜在的ニーズを把握し、実効性の高いサービスを提供している。

販売・マネジメント研修では、顧客ニーズの把握などの営業の基礎から燃料転換やガス機器販売の提案力向上まで、幅広いテーマを扱う。特に好評なのが人材定着と職場活性化を狙った「マネジメント研修」だ。チームビルディングや部下の意欲を引き出すコミュニケーション術を学ぶもので、「退職を考えていた若手が思いとどまった」「離職率が下がった」といった成果が出ている。参加者は主に管理職層だが、「社内の共通言語として、若手や他部門にも受講させたい」と、個別での開催要望が寄せられるほど高い評価を得ている。

各種研修は参加者から好評だ

保安研修にも力を入れている。「セーフティ・アンド・クリーンチェック」は研修と審査を組み合わせ、書類や記録の管理状況だけでなく、現場での運用実態まで確認。業界内でも例を見ない細やかさで、「立ち入り査察より細かいと言う保安責任者もいるほど」だという。

DXツールで現場効率化 暮らし支援で認知度向上へ

配送や保安などの現場業務は「きつい」というイメージを持たれやすく、人材確保に苦戦している特約店は多い。こうした現状から、LPガス業界全体としてDX推進が急務となっている。実際に「DXの必要性を感じながらも、どこから着手すればいいか分からない」といった相談が多く寄せられている。

それに対して同社は特約店の業務や規模に合わせ、最適なデジタルツールの導入を支援している。今年提供を開始した配送ルート最適化サービス「Routify」(ルーティファイ)は、顧客ごとの過去の使用量履歴や気温データをもとにAIが残量を予測し、自動で配送ルートを作成。これにより、従来は配送担当者の経験や技量に依存していたルート作成業務を新人やエリア変更直後の社員でも短時間で作成することができ、大幅な業務効率化を実現した。

さらに、ガス品質が横並びである中での差別化策として、暮らし全般を支えるサービスの導入も進めている。その一例が、いわゆる駆け付けサービスにあたる「くらしのホッとサポート」や、飲食店をはじめとした各種優待サービス「くらしのベネフィット」などの「くらしシリーズ」だ。日常をサポートすることで、顧客からの認知・プライオリティーを向上する狙い。同社のサービス担当者は「検針の時に限らず、特約店であるガス会社を思い浮かべてもらえるようになる」とその意義を語る。

同社は「選ばれる特約店づくり」に向け、ガスの枠を超えた価値提案で現場を支え、地域密着型特約店の競争力を着実に高めていく。