【特集2】料金の透明化へ行動指針策定 不動産業界にも対応要請

2025年9月3日

商慣行是正に向け不動産業界との連携を進める全L協。次世代燃料の実用化では、産学官一体で取り組む構えだ

インタビュー/山田耕司(全国LPガス協会会長)

―商慣行是正のための新たな規律が設けられました。

山田 業界全体の健全な発展と、消費者から選ばれるエネルギーとなるために不可欠であると認識しています。今回の制度改正を受け、業界自主ルールの該当箇所を改訂するとともに、LPガス販売事業者による「取引の適正化・料金の透明化に向けた行動指針」を策定し、この指針を参考に、全L協ウェブサイトにて自主取組宣言を公表した販売事業者一覧などを掲載しています。事業者のみならず、賃貸住宅オーナー・管理会社、消費者にご理解いただけるよう努めています。

―他業界とはどう連携していますか。

山田 賃貸住宅の入居希望者に対し、オーナー、不動産管理会社、不動産仲介事業者などと連携し、LPガス料金に関する情報を事前に提供しています。しかし、不動産・集合住宅のオーナーからLPガス販売事業者への設備貸与要求が依然としてあります。そこで、4月15日に国土交通大臣と面談し、不動産業界の法令順守に向けた取り組みの強化を要望しました。

―第7次エネルギー基本計画におけるLPガスの位置付けをどう認識していますか。

山田 「S+3E」(安全性、安定供給、経済性、環境適合)の実現に大きく寄与するエネルギーとして重要性が再認識され、活用が推進されると認識しています。災害大国日本においてはその価値がより高まるとともに、また、環境負荷の低さから、日本のエネルギーミックスに不可欠な存在として位置付けられたと考えています。

―グリーンLPガスが、次世代燃料として位置付けられています。

山田 大量生産技術は未確立で、コストや原料の安定的確保などに課題があります。そのため、政府、企業、研究機関が一体となり研究開発を進め、着実な実証を踏まえて制度設計やインフラ整備などを推進していくことが不可欠です。カーボンニュートラル(CN)実現に向け、30年以降の実装への加速化が大きく期待されています。

―LPガスのサプライチェーン全体において、要望はありますか。

山田 設備の老朽化対策や災害用LPガス設備の導入などに国の補助金が必要です。また、中小LPガス販売事業者の事業継続支援や効率的な物流支援システム、遠隔監視システムなど業務効率化対策への政策支援をはじめ、高効率ガス機器導入補助金の継続・拡大が求められます。

やまだ・こうじ 1997年4月ダイプロ(大分市)社長、20年4月に同社会長に就任。2013年5月から大分県LPガス協会会長を務める。2022年6月から現職。