【コラム/10月17日】エネルギー転換実現のための課題

2025年10月17日

エネルギー転換実現のためには、住民の主体的な関与が重要

ドイツでは、再生可能エネルギー電源、とりわけ陸上風力発電と大規模ソーラー発電の設置に関して住民のアクセプタンスが問題となっている。

そのため、住民のプロジェクトへの経済的参加のためのさまざまなモデルが考案され、そのいくつかはすでに州レベルで導入されている。例えば、メクレンブルク・フォアポンメルン州では、プロジェクトの推進者は、地元の自治体または住民に資本参加の機会(株式を購入する権利)を提供することが義務づけられている。さらに、ドイツでは、経済的な参加だけでなく、計画策定手続きにおける住民参加によりエネルギー転換に対する住民のアクセプタンスの向上を図っている(経済的インセンティブに関しては、2023年5月16日掲載のコラムを参照のこと)。

エネルギー転換の実現に向けて、ドイツでは再生可能エネルギーが中心的な役割を担っているのに対し、わが国では原子力も一定の役割を果たしている。この点において両国の政策には違いが見られるが、ドイツの取り組みには、わが国のエネルギー転換政策に活かせる示唆が多く含まれていると考えられる。


【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

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