【特集2】特許技術の整流器により省スペース化 水素含有率をリアルタイムで計測
【エンドレスハウザージャパン】
工業用計測機器を世界的に展開するエンドレスハウザー。
高性能超音波式ガス流量計での日本市場開拓を進めている。
スイスの工業用計測機器メーカーのエンドレスハウザーが高性能超音波式ガス流量計「FLOWSIC500」を市場に展開中だ。同機器は現在、天然ガス・都市ガスの分配時などに使用する輸送取引用測定機器として使用されている。

エンドレスハウザーは昨年、ドイツのセンサー企業SICK(ジック)と戦略的パートナーシップを締結。SICKのガス分析計および超音波式ガス流量計事業部門が分社化され、今年1月に両社出資による合弁会社「エンドレスハウザージック」(EHS)が事業を継承した。EHSは、ガス分析計・ガス流量計を製造しており、エンドレスハウザーは日本市場において、販売、普及推進に力を注いでいるところだ。
大口需要の流量計入れ替え促進 供給ネットワークのDX化貢献へ
FLOWSIC500は、独自構造のカートリッジ内に特許技術の整流器(フローコンディショナー)を内蔵するため、流量計前後の直管長の設置が不要で、設置スペースが大幅に削減される。また、一般的に使用されている機械式ガス流量計に対応したフランジ面間設計にしており、既設からの置き換えをスムーズに行うことが可能だ。
ガス供給ネットワ―クのDX(デジタルトランスフォーメーション)にも適応する。先進的なi-diagno
stics™機能により、流量計測値のほか、機器の状態やアプリケーション上の問題などをリアルタイムで出力。現場での点検、確認作業の省人化で、運用コストの削減に貢献する。
温度圧力センサーを搭載した、標準体積換算機能を持つ機種では、ガス品質インジケータ(GQI)を利用できるオプションがあり、天然ガス中の水素含有率(最大30%)がリアルタイムで計測できる。これにより、ガスクロマトグラフ利用時に比べ、費用、時間の大幅削減が可能になる。また、ニーズの高まりが期待される水素混焼施設では、水素含有率30%までの天然ガスの流量と混合率を1台で測定できる。
ガス測定グループの伊藤琢也プロダクトマネジャーは「都市ガス事業者をはじめ、大口需要家の機械式流量計への入れ替えを進めていき、ガス供給ネットワークのDX化に貢献していきたい」と市場への浸透に期待感をにじませた。


