食品廃棄物でバイオガスを生成 地区内のホテルで給湯用の熱源に

2025年11月18日

【JR東日本グループ】

JR東日本グループは、高輪ゲートウェイ駅を中心とする約10‌haにおよぶ再開発地区「高輪ゲートウェイシティ」で、バイオガスや水素などの再生可能エネルギーを活用したサステナブルな街づくりを推進している。

温水を作る屋上のボイラー

9月24日には、オフィスや国際会議場が入るツインタワー「ザ・リンクピラー1」の地下2、3階に設置するバイオガス施設を報道陣に公開した。同月12日に商業施設「ニュウマン高輪」が開業したことを受け、本格稼働。入居する飲食店などから出る食品残さを回収し発酵させ、発生するバイオガスをビル屋上に設置した温水ボイラーに送り、同地区内のホテルにお湯を供給する。来春同地区全体が開業すれば、1日当たり約4tの食品廃棄物を処理し、約760㎥のバイオガスが発生することになる。これにより、ホテルで必要な給湯の約1割を賄えるという。

温水ボイラーで効率的にお湯を沸かすためには、バイオガスが安定的に供給されることが重要だ。しかし実際の発生量は、投入する食品廃棄物の量により変動してしまう。そこで、冷やして水分を除去したバイオガスをいったんタンクで貯蔵し、ボイラーに送る工夫をしている。


水素の利活用を推進 地産地消の供給網構築も

JR東日本グループは同地区を「100年先の心豊かな暮らしのための実験場」とし、環境を新しい街づくりのコンセプトに掲げている。水素が大きな役割を担うこととしており、今後利活用を進めていく予定だ。

現在、同地区では、純水素型燃料電池を搭載した自動走行モビリティ「iino」を運行している。

最高時速5km、立ち乗り式で、複数人を同時に運ぶことができ、広い敷地内を快適に移動できる。当面は、水素吸蔵合金を採用したカセットを用いることで外部から水素を運び込み活用するが、将来的には再エネ由来の水素を街の中で製造することにより、サプライチェーン構築を実現させる計画だ。

純水素型燃料電池システム

経営戦略本部都市計画・エネルギー・企画ユニットの野田幸久マネージャーは「具体的な実装に取り組みながら、今後も脱炭素、CO2排出の少ない街づくりにチャレンジしていく」と力を込める。エネルギー自給自足型商業ビルのモデルケースとして、全国の注目を集める取り組みとなりそうだ。