現場に配慮した商品をラインアップ ガス検知器の点検を大幅に効率化
【理研計器】
理研計器はこれまで、現場の声を踏まえた商品開発を進めてきた。
検知器本体の機能向上に加え、点検業務を効率化する機器を展開している。
理研計器は、現場のニーズや要望を取り入れた開発を行い、さまざまな機器を展開している。その一例が、使用時の操作音にちなみ、「ピコピコ」の愛称でおなじみのポータブル型ガスリーク検知器「SP―230シリーズ」だ。同検知器は、従来機種の改良を重ね、操作性や作業性を向上させた。LEDライトや警報を鳴らすガス濃度などの設定は、片手でワンプッシュすれば変更が可能。測定記録を保存する機能が付いているほか、ブルートゥースでスマートフォンと連携させれば位置情報やガス濃度などのデータをメールで自動送信できる。これらの充実した機能が評価され、現場からは多くの支持を獲得している。

さらなる改良を模索する中、次に着目したのが点検業務だ。ガスリーク検知器は年に1回、メーカーによる定期点検が推奨されている。従来は検知器本体をメーカーに送って点検を行い、また送り返してもらうという手順を取っていた。要する期間は2週間ほど。この間の代替機や予備品の確保とともに、送付にかかる作業や送料の負担などが発生していた。
点検成績表を発行 結果をメーカーが保証
「利便性のさらなる向上を図るには、点検に関わる作業を軽減することが必要だと考えた」。第一営業部第3営業グループ営業三課の青木裕喜夫課長は開発の経緯をこう明かす。
同社は、そうした状況を踏まえ、SP―230を点検するための自動ガス調整器「SDM―230」を開発した。ラインアップした機種は、都市ガス用、LPガス用、都市ガス・LPガス併用の3タイプ。ボタン一つで検知器の情報の読み取りから点検結果の表示まで自動で行い、わずか5~10分程度で定期点検を終えられる。従来の方法に比べて、大幅な時間の短縮を実現した。


さらに、点検履歴などのデータ類は自社のパソコンに保存が可能。次回の点検日を把握するなど、検知器の管理がしやすくなった。
青木課長が「搭載するのに、かなり思い切った決断だった」と話すのが、メーカー保証付きの点検成績表が発行できる機能だ。メーカーがユーザーの点検を保証する仕組みは、他にはない同社独自のもの。「現場で使用するユーザーのことを第一に考える」という一貫したコンセプトがあったからこそ、搭載が実現した機能と言える。
さらに、点検の結果、もし不具合があった場合には、理研計器が販売するガスボンベの登録番号が記載されていることなどを条件に、点検日から3カ月以内であれば、SP―230本体の無償での修理が可能だ。いざという時には、メーカーが対応するバックアップ体制も整っている。
数分で動作確認が完了 日常業務での使用が可能
使用前点検(バンプテスト)といった日常業務で使用できる点もポイントだ。使い方は定期点検と同じで、所要時間は2~4分ほど。例えば、現場に向かう前のちょっとした時間を使って、ガス感度を確認できる。最大5台を連結して、同時に5台の点検も可能だ。また、災害時のBCP(事業継続計画)の観点においては、短時間で多くの検知器を一気に自主点検できれば、ガス導管の復旧や開栓作業が迅速に行える。
もう一つのポイントとしては、部品交換のしやすさが挙げられる。センサーやポンプなどの部品交換を現場で行った後、SDM―230を使えば、動作確認が行える。そこで問題がなければ、すぐに現場で使うことが可能になる。突然の故障があっても、現場ですぐに対応できるのは大きなメリットだ。
SDM―230は、単一ガス用タイプが30万円、都市ガス・LPガス併用タイプが36万円(いずれも税抜き価格)で販売されている。これまでのメーカーで点検する費用や機器の送料を考慮すると、「ガス検知器を20~30台以上で使用していれば、SDM―230の導入コストは数年ほどで回収できる」(青木課長)という。

万が一のガス漏れを検知するガス検知器は、都市ガスやLPガスの開栓、またガス導管の敷設工事などの現場の安全対策に欠かせない存在だ。そのため、ガス検知器の動作状況の点検は、必ず行うべき業務の一つ。その業務が効率化できれば、現場の負担が少なくなる。さらに、人件費の削減につながるケースも考えられる。
理研計器では現在、SP―230の既存ユーザーに対して、新たな付加価値となるSDM―230の提案を進めているところだ。さらに、新規ユーザーに対しては、二つの機器をセットにした販売を積極的に行っていく。ガスインフラの安全を陰ながら支える存在として、同機器の活用の場が広がっていきそうだ。


