【特集2】ソリューションをユーザー視点に転換 包括的にサポートする体制を整備

2026年1月3日

【関西電力】

関西電力が中期経営計画の中で掲げている柱の一つがバリュー・トランスフォーメーション(VX)として取り組むサービス・プロバイダーへの転換だ。従来の大規模なアセット中心のビジネスにとどまらず、ユーザー視点に即したニーズや課題解決に尽力する。その鍵と位置付けている商材の一つが蓄電池であり、蓄電所の運用だ。

蓄電所の初案件として、オリックスと共同で和歌山県に「紀の川蓄電所」(出力4・8万kW、容量11・3万kW時)を建設し、2024年12月に運開させた。今後、関電が関わる案件では、28年2月に大阪府泉南郡の多奈川蓄電所(出力9・9万kW、容量39・6万kW時)、同年4月には北海道札幌市のSGET札幌1、2蓄電所(出力5万kW×2、容量17・55万kW時×2)が運開する。関電は30年代早期に約100万kWの蓄電所開発を目指す。

蓄電所の運用では当面の間、卸電力取引市場や需給調整市場などを活用する。紀の川蓄電所では、オリックス側が設備の運転や保守を担う一方、関電側が市場取引を担当。同社グループのE―FlowのAIを活用したシステムを使い、市場動向を踏まえて取引の最適化を図る。

ケーブル負荷を抑える施工 温度管理と状態監視を徹底

紀の川蓄電所ではセル型のリチウム電池をモジュール化し、64個のコンテナに収めている。ケーブルは地中に埋め込み、電力系統に接続している。その際、ケーブルに負荷がかからないよう、コンテナをかさ上げし、ケーブルを歪曲にして地中に這わせるようにした。

また、各コンテナ内には空調を完備し所定の温度に保つと同時に、24時間監視して、状態を確認している。「性能が劣った電池があると、モジュール全体の効率が下がる。そのため、最適な運用には各モジュールの劣化具合を均一にする必要がある」(関電担当者)。関電ではこうした運用を積み重ね、蓄電設備の開発や設置、運営までを包括的にサポートする体制を整えてVXを展開していく。

和歌山県の紀の川蓄電所