【特集2】適切な導入規模の判断が重要 接続地点の情報公開に期待
蓄電池事業が盛り上がる一方、さまざまな課題が生じている。今後の健全な発展に向けた課題や展望について話を聞いた。
インタビュー/山田 努(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギーシステム課 課長)
―大型蓄電池事業の現状をどう見ますか。
山田 再生可能エネルギー変動を緩和する上で蓄電池は重要で、多くの地点でビジネスが盛り上がっています。一方、系統接続への手続きが渋滞状態です。安定供給を前提とした電力システムで必要とされる蓄電池の役割と、蓄電池で収益を上げようとする事業者の思惑との間にギャップがあるのかもしれません。盛り上がりは否定しませんが、適切な導入規模を客観的に判断し、健全なビジネスの発展が重要です。
―ギャップを埋めるための措置は。
山田 蓄電池をターゲットにした制度的な枠組みは存在しませんが、例えば、運用が始まっている需給調整市場では系統用蓄電池の応札が進んでいます。市場がしっかりと機能するように募集量や上限価格の設定なども議論されています。
―火災事故などの課題もあります。
山田 安全性の高いものを優先するべきで、経産省の導入補助でも一定の安全基準をクリアしたもののみを対象にしています。火災以外の課題では、遠隔で制御可能な蓄電池はサイバーセキュリティーのリスクがあります。系統全体の安定運用に波及するため、しっかり担保された設備が導入されるべきです。
―日本ガイシがNAS電池の生産から撤退しました。
山田 国産メーカーの撤退はエネルギーの安全保障上でマイナス材料ですが、自前でセルから作る国産メーカーも存在します。こうした企業には頑張ってもらいたいです。
―電気自動車のバッテリー機能を蓄電池に仕立てるような取り組みも進んでいます。
山田 電気自動車や充電器・充放電器についても、DRready勉強会などで業界と議論したいと考えています。非常時の電源になり得るし応援したい。ただ充電時間が重なることで生じるピーク需要対応など課題はあります。
―蓄電池に火力発電特有の慣性力を持たせる「疑似慣性」の技術開発が進んでいます。
山田 火力の代替機能には期待したいですし、蓄電池への疑似慣性力の具備は安定供給の確保の観点から重要なので、技術開発を支援しています。ただ、現状では疑似慣性の価値を評価する手法がありません。
―今後の展望は。
山田 事業者が接続申し込み地点を精査するための情報を公開する「ウェルカムゾーンマップ」の拡充など、各一般送配電事業者で検討が進められています。これにより蓄電池の導入が円滑に進展することが期待されます。



