【特集2】充放電で太陽光発電をバリューアップ 30年100万kWに事業規模を拡大へ
【大阪ガス】
太陽光発電の導入拡大に伴い、出力抑制が増える中、再生可能エネルギー由来の電気を最大限有効活用するために蓄電池を併設する事例が増えてきた。従来の再エネ併設型蓄電池は高圧(2000kW級)規模までであったが、大阪ガスは特別高圧の併設型蓄電池の建設を決定した。
九電管内の出力抑制に対応 追加投資で設備を効率化
同社は、世界的な再エネ発電のデベロッパーであるSonnedix Holdings(ソネディックス)と共同出資している発電所運営会社が保有・運営する大分市の太陽光発電所(発電容量3万9000kW)で、再エネ併設型蓄電池の導入を決めた。併設型としては国内最大規模となる定格出力3万kW、定格容量約12万5000kW時の蓄電池を設置するもので、これに伴い同発電所はFIT(固定価格買い取り)制度からFIP(市場連動価格買い取り)制度へと転換する予定だ。FIP転後は、発電・放電された電力の全量を大阪ガスが引き取る形となる。蓄電池は2026年11月に完成予定だ。

3万kWの併設型蓄電池は特別高圧で系統に接続されることになる。特別高圧での蓄電池投資は、高圧に比べて系統接続の負担金や工事費などが増大する。それでも、大型蓄電池への投資を決めた。22年にソネディックスが保有する国内3カ所の太陽光発電所に出資したものの、大分発電所は再エネの出力抑制が他の地域に比べて多い九州電力管内にあり、設備の効率的な運用が制限されていた。太陽光発電所をこのまま放置するか、蓄電池に追加投資して効率化するかの選択に迫られ、今後出力抑制がさらに増えていく可能性も考慮した上で、投資による採算確保が可能と判断した。
大型の蓄電池を併設して昼間に太陽光発電の電気を充電し、需要が増える夕方以降に放電することで、九州電力管内のピークシフトに貢献でき、太陽光発電所のバリューアップが可能となる。設置する蓄電池には、昼間にフル充電した電気を4時間連続で供給できる規模がある。大阪ガスはこの電力をアグリゲーターとして引き取り、市場や需要家向けに販売していく。
ROIC(投下資本利益率)経営を重視する大阪ガスとして、太陽光発電のバリューアップの意義を高く評価した結果が大型併設蓄電所への投資というわけだ。投資決定の背後には、同社が積み上げてきた、系統用蓄電池の運用で得た安全性評価などの知見が生かされている。また、子会社KRIが行ってきた基礎研究や実証などの実績を使って蓄電池を選定するなど、グループ全体の力を結集する。
同社は今後、他事業者が保有する太陽光発電所も対象としてバリューアップの提案を進め、30年に系統用と併設型を合わせて100万kWにまで蓄電池事業を拡大していく考えだ。


