県主催で避難退域時検査の対応訓練 円滑かつ確実な避難体制整備を目指す

2026年1月4日

【茨城県】

茨城県は原子力事故を想定した訓練で、住民の放射線量を計測する検査要員に手順の習熟を求めた。

日本原子力発電は協定を結ぶ事業者と連携し住民の安全で円滑な避難体制整備を支援する。

原子力発電所では原子力災害を防止するため、新規制基準に基づくさまざまな安全性向上対策が講じられているが、加えて万一の重大事故を想定した訓練が全国の原子力発電所の立地地域で行われている。

茨城県は2025年11月20日、東海第二発電所で重大事故が発生したという想定による対応訓練を常磐自動車道友部サービスエリア(SA)で実施し、日本原子力発電や同社と協定を結ぶ事業者(東京電力HD、日本原子力研究開発機構、日立GEベルノバ、三菱原子燃料、原子燃料工業、原電エンジニアリング)が検査要員として参加した。

ゲート型モニターの間を通る車

避難退域時検査とは、重大事故が進展し発電所から放射性物質が放出されたという災害が起こった場合に、住民が車で一時移転・避難する途中で受ける検査で、人や車への放射性物質の付着の有無を調べる検査である。避難する人々の安全・安心を確保するための重要な検査だ。

県は検査候補地として東海第二発電所から半径約30㎞付近に避難退域時検査のための場所を44カ所候補地として定めるとともに、定期的に同様の訓練を実施している。今回は発電所の近隣住民が県南方面に避難する際の重要拠点となる友部SAで検査要員が手順や簡易除染作業など一連の流れを確認し、習熟する機会として訓練を実施した。


簡易除染で基準値以下に 安心の証に検査済証を発行

SAに到着した車両は、道路に横たわる2本の白いポールの間をゆっくりと通過する。このポールは「ゲート型モニター」と呼ばれ、タイヤに放射性物質が付着していないか放射線量を計測する。基準値を超過していれば乗員の中から代表者に車から降りてもらい、サーベイメーター(放射線測定器)で測定し、その結果、放射性物質の付着が確認された場合は、同乗者を含めて拭き取りなどの簡易除染をした上で、再検査する。基準値以下になれば検査済証が発行され、それを持って避難先へ向かうという流れだ。

測定器で車に外部汚染がないかを確認


県下のSAで初実施 第三者が訓練を評価

NEXCO東日本が管轄するSAが訓練会場となるのは初めてのこと。同社の山本卓水戸管理事務所長は「一般のお客さまがSAを利用している中、臨場感のある訓練ができた。今後も県から要請があれば協力していきたい」と語った。

日本原電の地域共生部の丸谷充部長代理は「万が一の原子力災害に備え、地域住民の皆さまの避難行動を支援できるよう体制整備を進めるとともに、普段からこうした訓練を通じて県や周辺自治体、協力協定を結ぶ事業者と連携することが重要と考えている」と強調した。

外部汚染を確認する検査要員

現場では「訓練評価」と書かれた腕章を着用した日本原子力研究開発機構原子力安全・防災研究所原子力緊急時支援・研修センター(NEAT)の評価者が訓練に立ち会い、一つひとつの作業を細やかに観察していた。評価結果は今後伝えられるが、次回の訓練をより実効的なものにする有益なインプットとなるだろう。

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