【記者通信/1月21日】常態化する電気ガス代支援 国が本来注力すべき施策とは
積極財政を強調する一方で円安問題はスルー
いずれにしても、高市政権からは物価高に対応するための施策は次々と打ち出されているものの、物価高を改善させるための施策は全く見えてこない。高市首相は19日会見の冒頭発言で、「これまでに講じた物価高対策により、今年は実質賃金の伸びのプラス化が見込まれる」「強い経済実現のためには、国民の皆さまの手取りを増やし、実質賃金上昇を確実なものとし、改善された消費マインドが経済の好循環を実現する姿が必要」「これこそが、私が目指す責任ある積極財政下での強い経済の実現だ」などと、積極財政のメリットをこれでもかとばかり強調する一方で、為替問題に触れることはなかった。

会見の質疑応答で、日経新聞の記者が「円安と金利上昇が進んでいる状況にどう対応していくのか」と質問を投げたが、それに対する高市氏の答えは「為替の変動など、マーケットで決まることについては、私の方から特にコメントすることはない」と、極めて重要な問題にもかかわらず、そっけない公式見解。続ける形で、「投機的な動きなどについては、しっかりと注視をしていく。日本国としても必要な対応を打っていく」と述べたものの、為替市場に対するメッセージとしては弱かったと言わざるを得ない。21日現在の円相場は、1ドル158円前後、1ユーロ185円前後、1豪ドル106円台後半と相変わらずの安値圏で推移している。
「5年前は1ドル110円台、3年前は1ドル130円台で、そこまではまだよかった。現在の円相場だと、おいそれと海外旅行にも行けない。特に欧米には行けば行ったで、日本が経済的に貧しい国になったことを実感させられる。友人たちを見ても、一昔前のように、気軽に海外旅行に行かなくなった。それが強い経済を目指す国の現実かと思うと、悲しくなる」(30代会社員)、「高市さんは実質賃金を増やすと声高に言っているけど、中小企業の場合、そう簡単にはいかない。夫の給料が増えない中で、管理費を含めた家賃が上昇している。マイホームを購入しようにも、ここまで住宅価格が上がり、金利が上昇してくると、現実的に無理。物価高の原因が円安にあるのであれば、まずはそこを何とかしてほしい」(40代主婦)――。
省エネ支援で利用者負担の軽減が王道
光熱費を含めた物価高対策として「円安」を問題視する世論がなぜ盛り上がらないのか、不思議でならないが、国費による夏・冬の電気・ガス代支援が今後も継続し常態化することだけは絶対避けなければならない。それこそ、「新規参入促進による市場競争を通じ、適正な料金水準を目指していく」という政策理念の下で、小売り事業を全面自由化した電力・ガスシステム改革が根底からゆがめられることを意味するからだ。
「円安がどうにもならず、電気・ガス代の値下がりが期待できないのであれば、省エネ推進を支援することで、利用者の負担感を軽減させるのが王道。省エネの技術開発や省エネ機器の導入促進こそ、国が取り組むべき施策だろう。もし国が5兆円もの税金を省エネ対策に回していれば、相当なことができたはず。化石燃料調達での国富流出を抑え、CO2削減にも貢献し、国力の強化につながっていたかもしれない。1970年代のオイルショック当時、国が講じた政策、ムーンライト計画やサンシャイン計画がわが国のエネルギーに何をもたらしたかを今一度思い返すべきだ」(大手電力会社OB)。高市氏は、電気ガス代支援を誇らしげに語っている場合ではない。


