【大阪ガス 藤原社長 】CN投資を着実に進め 脱炭素に貢献しながら国内外で収益力高める
ガス火力2基が新規稼働 新たな収益基盤へ
井関 26年には国内で姫路天然ガス火力発電所の運転開始が控えています。
藤原 1月に1号機が、来年度早々には2号機が運転を開始し、当社が保有する国内の火力発電所の設備容量は200万kWから320万kWに拡大します。さらには、30年度に3号機を運開させるべく24年度の長期脱炭素電源オークションで落札しました。こうした発電所が、当社の安定した収益基盤に育つことを期待しています。
また今年度には、袖ケ浦、和歌山御坊の2カ所のバイオマス発電所が運転を開始し、出資参画意思決定済みの8カ所のバイオマス専焼発電所が全て稼働済みとなり発電容量の合計は約45万kWに上ります。再生可能エネルギー全体としても、投資の意思決定をした案件や調達案件も含めて、25年中に約400万kWまで積み上げることができました。当社は日本有数の再エネ事業者であると自負しています。

井関 電力小売り契約件数は順調に伸びていますが、競争状況をどう見ていますか。
藤原 契約数は増えているのですが、当社に切り替えていただいたお客さまが元に戻られるとか、さらに他の新電力に移られるといったことも起きています。全面自由化当初にぐっと契約を獲得していた当初に比べると、大きな動きはなくなりました。競争環境が落ち着いたというよりも、戦い方が複雑になってきたと感じています。
井関 25年末にはe―メタンプロジェクトを巡っても大きな動きがありました。
藤原 脱炭素や未来への投資の観点から、これまでe―メタン製造プロジェクトを検討してきました。新潟県長岡市におけるINPEXとの試験設備が間もなく運開するほか、万博におけるバイオメタネーション施設の運営など、これまでは技術開発や実証ベースの取り組みでしたが、30年1%導入するには商用プラントが欠かせません。
それに向け、紆余曲折はありましたが12月に米ネブラスカ州の「Live Oakプロジェクト」の基本設計に向けた共同開発への参画を決定することができました。バイオジェニック(生物由来)のCO2を原料に、再エネ由来のグリーン水素でe―メタンを合成するプロジェクトであり、30年度の製造開始に向けて注力していきます。
e―メタンは日本のガス会社が世界に先駆けて取り組みを始め、アンモニアや水素と比べると世界的にはさほど盛り上がってきませんでした。Live Oakは、24年に設立されたe―メタンの普及拡大を目指す国際的アライアンス「e―NG Coalition」のリーダー的企業であるTree Energy Solutions Belgium B.V.(TES社)の子会社に加え、石油メジャーのトタル社の子会社も参画してプロジェクトを進めていくことになっており、非常に蓋然性が高いプロジェクトだと考えています。
低炭素化へ燃料転換 基盤設備への支援不可欠
井関 第7次エネルギー基本計画では、50年カーボンニュートラル(CN)達成後も天然ガスは引き続き利用されるエネルギーとして位置付けられています。LNGの利用拡大は加速していくでしょうか。
藤原 それは事業者の判断次第です。まだまだ石炭はLNGよりも価格が安いですし、ボイラーやタービン、発電機などは数十年にわたって利用してきたことで償却が終わっています。そうした中でも、旭化成など環境負荷抑制を重点領域と考える企業による、自家発電設備を石炭からガスコージェネレーションに転換するといった取り組みは着実に進んでいます。25年には、UBE三菱セメントの九州工場黒崎地区のセメント焼成用キルンの熱エネルギー源に天然ガスを混焼させる実証試験を行い、問題ないことを確認した上で天然ガス転換の検討が始まっています。

石炭設備は西日本に偏在しています。価格差が非常に大きい石炭からの転換を進めるには、ガスタービン、エンジンにとどまっている政府支援をさらに拡充していただく必要があります。旭化成のガス転換にはLNG基地から作る必要がありました。ガスを受け入れ、それをパイプラインで発電設備やタンクに運搬する基盤部分を全て企業が賄うとなるとコスト負担が重いのが実態です。国として低炭素に本気で取り組むのであれば、早急に手を打つ必要があると考えており、さらに大きな流れが生まれることを期待しています。


