【フォーラムアイ】澤昭裕氏没後10年 電力政策の現状と展望を多角的に議論
【公益事業学会】
公益事業学会、日本原子力学会、電気学会共催のシンポジウム「次世代電力システムへの道と原子力基盤再構築へ向けて~澤昭裕氏没後10年に考える」(運営協力エネルギーフォーラムなど)が1月16日に開催された。
開会のあいさつで竹内純子・国際環境経済研究所理事は、澤氏が残した講演資料などを示しながら、電力システム基盤再構築に向け求められる議論の観点を整理。環境政策や原子力政策、自由化などについて将来を的確に捉えた同氏の慧眼に触れた上で、「澤氏が一人でチャレンジし続けた俯瞰的で現実的な議論を実践するために、立場や所属を超えた議論の場を広げていただきたい」と訴えた。

真のシステム改革へ 澤氏が主張した3要件
その後は、「電力・エネルギー政策のあゆみ・現状と展望 多角的に考える」をテーマに資源エネルギー庁の村瀬佳史長官ら産官学の4人が講演。その中で村瀬氏は、「自由競争市場の中で、電力ネットワークの次世代化のための巨額投資にインセンティブが生まれるような制度改革を急がなければならない」と今後の方向性を語った。
電気学会元会長で中部電力会長の勝野哲氏は、澤氏が生前、国の電力システムが確保すべき要件として「安定供給に必要十分な一定の冗長性を持った供給力の確保」「国際エネルギー市場で伍していける購買力の形成」「電源の多様化によるリスク分散」の三つを挙げていたとし、「この要件をいま一度認識し、これらを満たす真の改革を果たすことがわれわれの責務だ」と述べた。
後半のパネルディスカッションは西村陽・大阪大学招聘教授をモデレーターに、5人のパネリストが登壇し「次世代電力システムへの道と原子力」をテーマにディスカッションした。竹内氏は、「発送電を分離する形で進められてきたシステム改革を、垂直連携できる制度設計によりどこまでリカバーできるかがこれからの肝だ」と明言。
小笠原潤一・日本エネルギー経済研究所研究理事は、「米国では、容量市場を含めた電力市場のボラティリティによって相対契約が促進され、電源投資や燃料確保につなげている。日本はその真逆で、多少は変動性を持たせた方がよいのではないか」と持論を展開した。
これを受け、エネ庁電力基盤整備課の添田隆秀課長は、「供給力を確保するという観点で、今の容量市場の仕組みが適切に機能しているか包括検証しているところ。次回のオークションに向け、直すところは直していくべく、その検討を1月中に本格化させたい」と応じた。


