【コラム/2月13日】東日本大震災から15年を考える~福島復興と国有東電・第五次総特の不如意とは

2026年2月13日

4、東京電力の運営~責任回避の政府の帰結

東京電力の経営は、福島第一原発事故後、国認定の総合特別事業計画が基本となった。福島事故の時、識者は、原賠法3条但し書き該当と考えたが、民主党政府は、従来の解釈を変えて、東電責任とした。政治行政の思惑に、巨額な損害費用の負担回避、事故収束能力の欠如も理由にあったろう。東電経営陣は、地元事情等を考え政府方針を受忍した。ここから「東電の原点は、福島への責任を果たすため、東電の存続が許された」という政府の弁となった。被災者の扱いはなかった。会社更生法が申請されていたらどうだったか。

総特は、迅速な賠償の実現と改革(11年)、資金繰り対策・合理化(12年)、一時的公的管理、外部取締役主導経営体制(14年)、HDカンパニー制の導入(16年)、機構の東電経営への継続的関与(国・社外取締役と協議、17年)、燃料・火力事業等のJERA への事業統合(19年)、賠償廃炉資金捻出継続、再編統合の模索(21年)を経て今日がある。前述の通り東電は賠償・廃炉・福島復興事業のために存在し、電力の安定供給を副業とする国有企業に変わった。当然民間企業としての活力は期待出来ない。

今回の第5次総特の認定は、引き続き福島における原発事故の賠償、廃炉の遂行、福島復興に対する責務を東電の存在意義の第一としている。それを遂行する資金確保が経済事業の任務である。収益・キャッシュフロー確保のため、電力販売維持、再編統合を含めたアライアンスによる収益機会の模索(2月2日募集開始)、合理化による経費削減、柏崎刈羽原発再稼働による電力コスト引き下げ、周辺事業の拡大による収益確保、資金捻出の資産売却を画策している。そしてAI需要等を見込み35年度に販売電力量2817億kwh(年2%増)等で6兆9千億円の売り上げを見込む。ようやく辻褄合わせが出来た姿ということであろう。

今後10年間の総特の留意点は、販売電力量見込みの実現性、事業体の健全化と合理化の両立具合、資産売却の内容と経営体力向上の関係、国有東電とアライアンスを組む資本の動機・思惑との調整、資金調達をめぐる金融環境の動向等々である。

そして国有東電は、抑も民間企業なのか、真の経営者は誰かという疑問が常に浮上する。本来の経営者が、日本経済に必要なエネルギー企業の在り方として真剣に検討した結果なのか。また働く人にやる気を起こさせる事業計画なのか。傍目で見た場合、現在の公務員的業務遂行(忖度)を加速する心配もある。


5、福島復興と東電の目指すべき方向~福島責任とは

現在の福島復興は、廃炉立地5町に絞られる。まさに東電の事業地で、東電再建の修羅場である。その東電も日本のエネ供給も、東日本大震災・福島事故後の政府措置の後遺症に苛まされている。東電は、福島の責任を全うできるか。

東電の存続は福島責任という位置づけは、過去の政権が、加害者扱いにしたことに端を発している。前述したように原子力損害賠償法3条但し書きの解釈問題は今も疑問が残る。東電を被災者とせず、原子力発電を殊更邪魔者扱いにしたことが問題である。健全な原子力発電の運転を停止し、その活用を阻止した。さらに地域の復興で必要な原子力に廃炉を求めたことも問題だった。 

福島浜通りの復興は、公共投資では完遂できない。地場産業原子力発電の復活こそが、地域特性に適している。それは同時にゼロエミッション電源による電力の安定供給にも貢献する。経済的には、貿易収支上も経済安全保障上も有用である。

福島浜通りの現状と日本のエネルギー供給の現状を考え、地域復興とエネルギー安定供給を同時に達成できる接点として原子力発電は現在も有効である。またその担い手として東電を有効に活用することが早道でもある。

第五総特の遂行と同時に、政治のリーダーシップ発揮で、福島県民を説得し、企業人の才能を引き出し、原子力の復活で福島復興と東電再建に進むことを期待したい。これこそが国・東電の福島責任の完遂であろう。


【プロフィール】経済地域研究所代表。東北大卒。日本開発銀行を経て、日本開発銀行設備投資研究所長、新都市熱供給兼新宿熱供給代表取締役社長、教育環境研究所代表取締役社長などを歴任。

1 2