【関西電力・森社長】不変の使命を胸に変革を積み重ね、未来を切り拓く
2025年度に中期経営計画の最終年度を迎えた関西電力。
原子力7基体制の確立という経営の土台づくりと、
脱炭素化と事業変革に向けた投資を着実に進めてきた。
次のステージに向けて新たな経営計画の議論を深めているが、
産業の成長を支える安定供給という責務は変わらない。
【インタビュー:森望/関西電力社長】

1988年京都大学大学院工学研究科修士課程修了、関西電力入社。執行役員エネルギー需給本部副本部長、常務執行役員再生可能エネルギー事業本部長、取締役執行役副社長などを経て2022年6月から現職。
井関 まずは2025年度が最終年度だった中期経営計画(21〜25年度)についてうかがいます。ロシアによるウクライナ侵攻や燃料価格の激騰など、エネルギーを取り巻く状況が激変した5年間でしたが、どう振り返りますか。
森 おっしゃる通り、現行の中計を策定した21年と現在では、エネルギーを取り巻く状況が全く異なっています。中計で大きなテーマとして掲げていたのは、「原子力7基の再稼動を成し遂げ、それを土台として困難を乗り越えていく」ということです。単なる数値目標ではなく、当社の存立基盤に関わる最重要課題でした。
井関 7基体制を確立したわけですが、経営への貢献度はどうですか。
森 極めて大きなインパクトがありましたが、道のりは平坦ではなかったです。これは立地地域をはじめ、福井県の皆さまのご理解のたまものです。また、原子力を動かすための資金調達を含め、財務状況は一時、有利子負債が大きく膨らむなど厳しい局面もありました。それでも、徹底したコスト効率化を全社一丸となって断行し、必要な資金を捻出してきました。7基体制が当社の揺るぎない基盤になっていることは間違いありません。
井関 中計は24年4月に財務目標などをアップデートしていますね。目標は達成できそうでしょうか。
森 第2四半期実績は堅調に推移し、昨年4月に公表した通期業績予想も上方修正しました。財務目標達成に向け着実に進捗しています。
GHG削減目標は前進 将来に向け攻めの投資
井関 中計では、成長戦略の柱として「EX(エネルギートランスフォーメーション)」「VX(バリュートランスフォーメーション)」「BX(ビジネストランスフォーメーション)」という三本柱を掲げています。
森 三つの柱は、単に中計の期間中だけ取り組めばいい施策ではありません。われわれが向き合うべき本質的な課題を整理したものだと考えています。
まずEXは、脱炭素化という世界的な潮流の中で、電源をより高効率で低炭素なものへと置き換えていく取り組みです。原子力の安定稼動だけでなく、再生可能エネルギーの新規開発、火力のゼロカーボン化、ゼロカーボン水素の活用、これらを支える最適な電力系統の実現など、その他の電源についても脱炭素化に向けた検討を加速させています。実績として、24年度の温室効果ガスの排出量は13年度比でスコープ1、2が59%削減、スコープ1~3では36%削減となっており、ゼロカーボンに向けた取り組みが前進しています。
井関 VXやBXについてはどうでしょうか。
森 VXはお客さまに新しい価値を提供する領域です。最近では、蓄電池ビジネスやモビリティ関連のサービス、あるいは太陽光発電とセットで電気をお届けするようなモデルなど、従来の電気事業の枠を超えた広がりを見せています。周辺領域を含めた新しいサービス提供は、着実に芽が出てきていると感じています。
そして、これらを支える基盤となるのがBXです。単なるコスト削減にとどまらず、仕事の在り方そのものを進化させる挑戦です。人財の確保はもちろん、AIの活用やDX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使し、より付加価値の高い働き方を目指しています。
井関 5年間でEXに1兆500億円、VXに1200億円の投資目標、BXに900億円(25年度単年)のコスト削減目標を掲げていました。手応えはどうですか。
森 最終的な精査は年度末になりますが、各分野で具体的な取り組みが着実に進捗していると考えています。将来の成長に向けた攻めの投資を、計画通りの規模で実行できていることは大きな成果だと言えます。


