【関西電力・森社長】不変の使命を胸に変革を積み重ね、未来を切り拓く

2026年3月1日

HSDC第1号を建設中 株主と丁寧な対話続ける

井関 現行中計が着実な成果を上げている一方で、市場の関心はすでに新中計へと向いています。検討中とのことですが、新中計で描こうとしている関西電力の将来像について、ヒントをいただけますか。

 新たな経営計画については、社内でハードな議論を重ねている最中ですが、大きな方向性は変わりません。われわれは高市政権が掲げる「日本の産業を成長させ、強い経済を作る」というビジョンを、エネルギーの安定供給を通じて支える立場にあります。経営理念に掲げている「『あたりまえ』を守り、創る」という役割は、今後も同じです。あくまで社会基盤を支える会社であり続けるということです。

 一方で、産業を支える安定供給と脱炭素化が主軸であることは間違いないですが、それだけではありません。情報通信や不動産といった事業も、重要なコア事業です。電気事業だけでなく、これらコア事業群の集合体として、グループ全体を成長させていきたいと考えています。

井関 23年5月にはハイパースケールデータセンター(HSDC)事業に参画することを公表しました。こちらの進捗は。

 23年に「今後10年程度で1兆円以上を投資し、総受電容量において900MWの事業規模を目指す」という目標を掲げ、事業を展開してきました。現在は京都府精華町での第1号案件の計画を進めています。27年度中の営業運転開始を目指して、土地造成の準備工事を進め、昨年8月には建設工事を開始しました。これに続く案件については、顧客ニーズ、災害リスク、敷地面積・電力供給などを総合的に考慮して地点選定を進めており、地権者や関係行政機関、周辺地域の方々との調整状況を踏まえ、競争戦略上お知らせできる段階で公表します。引き続き、市場動向を注視しつつ積極果敢に取り組んでいきます。

井関 DC需要は旺盛ですが、課題はありますか。

 生成AIサービスの浸透をはじめとして、市場の成長スピードや規模などを正確に予測することは難しく、求められるDCの規模・品質も非常に流動的な状況が続いています。特に関東の需要地では、系統接続申込が局所に集中することでひっ迫が生じているエリアも存在し、電力供給が遅れる例が顕在化しています。当社は現時点で投資額や事業規模の目標を見直す予定はありませんが、こうした需要・供給両面の変化を的確に捉えつつ、グループの電力供給ノウハウを生かして課題解消に取り組む必要があります。

ハイパースケールデータセンター第1号案件のイメージ

井関 企業の成長とともに、株主還元の在り方も問われています。アクティビスト(物言う株主)として知られる米エリオット・インベストメント・マネジメントは、一部資産の売却や配当金の1株当たり100円以上への引き上げなどを求めています。どのように対応しますか。

 そうした動きは認識していますが、特定株主との関わりの詳細についてはコメントを控えます。当社は多くの株主に支えられており、幅広いステークホルダー、特に多くの株主の皆さまと、これまで以上に丁寧に、そして広く対話を重ねていくことが大切だと考えています。株主の皆さまが求めるものはさまざまですが、その中でわれわれはどのような道を選ぶべきかを常に考え続けることが重要だと考えます。

 25年度の年間配当予想については、昨年10月にこれまでの60円から75円への増配を決定しています。成長の成果を株主の皆さまとしっかりとシェアしていくという考え方に基づいたもので、今後も丁寧なコミュニケーションを通じて、当社の考えをご理解いただけるよう努めます。

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