【コラム/3月27日】「トランプ暴走、イラン攻撃中東不安の日本経済を考える ~縮小均衡調整が不可避」

2026年3月27日

6、今回のイラン戦争ショックを踏まえた経済対策とは

日本経済は、当面中東石油輸入減少(含む途絶)を想定した対応となる。ショック緩和のため、石油等燃料で他の調達先を求め、同時に国内石油等エネ使用の削減も重要である。石油製品(化学原料=化学製品、自動車燃料、航空燃料、船舶燃料、暖房用燃料)の節約が必要となる。中期的には、再び原子力発電・再エネ等石油代替エネの開発を加速することが期待される。

マクロ経済は、価格メカニズムによる経済調整となる。国際石油価格上昇に伴う輸入価格上昇、企業物価上昇、消費者物価上昇を容認し、価格効果による需要減で、供給制約に対応することになる。この縮小均衡調整をスムーズにする経済政策が求められる。つまり総需要対策として、輸入物価上昇に伴う物価上昇と為替対策で金融引締め、また歳出の抑制(予算執行一部停止)を行いエネルギー消費の抑制、各種規制による石油使用の削減、輸送の削減によるガソリン・軽油等の使用抑制が効果的であろう。企業・個人の適応力を誘導することが肝心である。勿論価格転嫁に伴う便乗値上げは徹底的なコスト・利益監視で阻止すべきである。この意味でも公益事業体制は優れていた。また運転可能な全原子力発電の早急な再稼働も不可欠である。原子力規制委員会委員・官僚の十数年の仕事ぶりを問いたい。。

この視点から見ると、今の政府施策は、何か違和感を覚える。なぜこうなるのか。ポピュリズム的政治体制もあろうが、経済企画庁喪失も大きい。


7、中東で起きたことは甘受せざるを得ない

これまで中東発のオイルショックは、1973年第4次中東戦争による第一次オイルショック、1978年イランイスラム革命による第二次オイルショックを経験した。第一次は、アラブ諸国のOPECの石油禁輸措置・価格引上げ、第二次は、価格引上げと原油輸入量確保不安だった。いずれの場合も、まず国内生産維持に必要な原油輸入量の確保が第一の課題だった。そして原油価格の上昇による価格の受け入れはやむを得なかった。便乗値上げを戒め、合理的な価格の受け入れで、経済は、価格変化による調整が基本だった。それが代替効果、所得効果を生む。省エネ促進、節約による需要抑制、代替財の開発となり、企業の合理化と新規事業模索が相俟って、ショックを克服した。

そして教訓もある。中東地域は、島国日本のホモジーニアス(homogeneous)社会からは、民族・部族、宗教、歴史、領土、支配体制、世界政治・社会が複雑に絡まり、理解に苦しむことが多い。日本に中東をリードする的確な調査、企画、調整、指導力があるとも思えない。そして日本政治の惨めな姿がある。中東各国との友好を念頭に、事態を静観し、国内対応を進め、賢明な企業・個人の行動に期待する他に道はなさそうである。


【プロフィール】経済地域研究所代表。東北大卒。日本開発銀行を経て、日本開発銀行設備投資研究所長、新都市熱供給兼新宿熱供給代表取締役社長、教育環境研究所代表取締役社長などを歴任。

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