【特集2SAF最前線】社会実装に向けて官民が連携 コスト負担の最善策とは
EUの費用構成は不透明 需給の乱れで価格高騰も
山内 国交省と資源エネルギー庁資源・燃料部が協力するといった省庁横断的な取り組みが進んでいます。そうした中、ユーザー負担を考慮した実装に向けた進ちょくはどうでしょうか。
大田 22年に航空法を改正し、目的規定に脱炭素化の推進を位置づけました。また、政府の基本方針の中に国の目標として30年に10%のSAF利用を掲げ、各航空会社の計画に織り込んでいただいています。ですが、実は民間事業者の取り組みのほうが早くて、21年に、日本も含む世界の航空会社、空港、供給事業者などが30年のSAF10%利用を宣言しており、それを参考に法体系の中に落としました。

SAFの推進については、官民が一体となって協議会の中で議論してきています。24年には、この協議会で国内におけるSAFの需給見込みを試算したところ、30年頃には、国内の供給と需要がマッチするという推計が出ています。これを受けて、規制と支援を両建てで進めることになりました。まず、航空会社、利用する側の政府は10%目標を目指し、供給事業者はCO2排出削減量ベースで5%を目標に掲げる規制的な概念を入れています。その裏返しでGX経済移行債を活用して製造と運用・運営面への支援策を設けました。
ですが、その後、世界的にプラントの製造コストが上がってきており、エアラインが安定して利用できる価格帯までは供給できないのではないかという話が出てきました。そのような状況を打開すべく、昨年7月、官民協議会の下に設置したタスクフォースの中では、元売り事業者のプラント製造の最終投資決定(FID)に向けて、関係者でさまざまな施策の検討を年内かけて議論してきました。
大塚 航空のコストの3割は燃料ですから、SAFがあまりに高いと経営が成り立たちません。航空会社が買えないと元売り各社も作れないという、相互に依存する関係ですので、政府には国際競争力のある価格でSAFが供給されるよう、製造側へのさらなる一層のご支援をお願いしたいです。
また、利用側にも、高いSAFを使うのであれば、税制なり予算なりのインセンティブをご検討いただきたいです。同時に飛行機を利用するお客さまだけに負担を押し付けることになると、今度は航空を使っていただけなくなってしまいます。負担が偏らないよう、皆で努力をすることが重要だと思っています。
義務化についてはEUが先行していますが、実はEU制度には透明性がありません。要するに、通常の燃料とSAFとの費用構成が分からない。国際航空では、ICAOの仕組みで認定されたSAFを使うと、その分、CO2を削減できたという証書がもらえます。一方、EUはその仕組みではないSAFを使っているので、日本の航空会社がEUの空港を使うと強制的にSAFが混合された高い燃料を使うことになるものの、CO2削減効果を主張できません。
加えて、義務量がマーケットの供給量よりも少し高めに設定されているので、EUの空港会社は、SAFを供給するために買い集めます。需給バランスの関係で買い集める方が多くなると値段が高くなってしまう。そのため、EUのSAFの供給価格は不必要に高くなっているという認識です。そういった先行事例から、義務化はなるべく少ない水準から始め、段階的に広げていくのがよいと思います。
利用者負担について、日本発着の国際線は、日本の航空会社が運航する割合よりも海外の航空会社の割合が多い状況です。ですから、全ての利用者に負担いただく観点からすると、本邦・外航を問わず一律に負担をいただく仕組みが必要です。


