【特集2 分散型エネルギー事情】運用の柔軟性が強みに 熱の脱炭素化が重要課題

2026年7月3日

多様な役割のある、コージェネレーションなどの熱利用。
その重要性や普及に向けた課題などを秋澤教授に聞いた。

インタビュー/秋澤 淳(東京農工大学工学研究院化学物理工学部門教授)

―分散型エネルギーとしてのコージェネの役割について聞かせてください。


秋澤 コージェネは、熱と電気を自前で作って使うという仕組みに意義があります。省エネやレジリエンスへの貢献をはじめ、昨今では再生可能エネルギーが増えてきたことにより電力系統の調整力への貢献も期待されています。コージェネの特長の一つである柔軟な運用によって系統電力と協調させるなど、多面的な役割が担えます。


―電力需要が増加中のデータセンター(DC)に導入するニーズも生まれています。


秋澤 発電時の熱を吸収冷凍機の熱源に利用することで、空調(冷房)用の冷水を作れます。DCに電力を供給すると同時に排熱利用により空調もできるので一石二鳥です。さらに熱と電気を使い切る上では、DC単独への供給だけでなく、熱需要のある施設を呼び込んでエリア全体での面的利用計画も有効です。自治体などとも連携し、立地エリアのメリットにつながる展開が望ましいです。

約70℃の温度帯で利用が可能 排熱や太陽熱にポテンシャル

―排熱の有効活用が重要です。


秋澤 課題である熱の脱炭素化に有効です。排熱は脱炭素熱源なので、活用していけばCO2削減につながります。また、私の研究分野である熱駆動ヒートポンプの吸着式冷凍機は、70℃ほどの温度帯の熱でも約10℃の冷水が作れます。70℃程度の排熱は工場などのいたるところで発生しますから、有効活用のポテンシャルが大きいはずです。


―太陽熱利用も有効です。


秋澤 例えば、工場の屋根などに太陽光発電を無償設置して、発電した電力の使用分を支払うPPA(電力購入契約)という仕組みがあります。これを太陽熱にも活用して「再エネ熱版PPA」として普及を図っていくのも一つの方法です。


―熱利用の促進に向けた今後の課題は。


秋澤 太陽熱利用などの成熟した技術には、電気の固定価格買い取り(FIT)制度のような支援がなく、普及しないまま認知度が低下していることが問題です。また、第4次から第7次までのエネルギー基本計画でも再生可能エネルギー熱に触れていますが、なかなか進展していません。国の制度的な支援が必要であるとともに、今後、エネルギー会社にはCO2削減スキームなどのサービス提供を通して、再エネ熱利用も提案してもらいたいと思います。

あきさわ・あつし 1995年東大大学院工学系研究科修了。東京農工大工学部准教授などを経て2007年から教授。19年度から22年度まで同大大学院生物システム応用科学府長。