【特集2 分散型エネルギー事情】TGESが大型コージェネを活用 DC向けに早期のエネ供給実現

2026年7月3日

現在、急激にニーズが高まっている国内のデータセンター(DC)市場。それに伴う電力需要も増加の一途をたどることが予想されている。


ただ、大規模なDC向けとなると1サイト当たりに要する電力供給力のオーダーは5万kW、10万kWにも上ることがあるが、このような「特別高圧」レベルの送電インフラは全国津々浦々で十分に整備されているわけではない。


突如として沸いた電力需要に対して、既存の電力系統のインフラだけでは不十分で新たな設備が必要になるが、「(一般送配電事業者から)整備するまでに10年かかる」と言われるケースが少なくない。このことが、現在のDC建設の大きな障壁となっている。

鍵は電源ハイブリッド 不足分を賄う供給方式

既存の電力インフラに頼り過ぎない対策案はないか――。エネルギー業界がこうした悩みを抱える中、東京ガスエンジニアリングソリューションズ(TGES)が「電源ハイブリッド型DCソリューション」の提案に力を入れている。


この「電源ハイブリッド」という文言は、2025年3月に経済産業省と総務省が立ち上げた「ワット・ビット連携官民懇談会」で使用された表現だ。この会議は、DC向け電力供給に対する前述のような課題を視野に電力と通信インフラの一体整備を目指す狙いでスタートしたもの。既存の電力インフラを有効活用しつつ、不足分をガスコージェネなどの他の電源で補うという考え方が示された。設備を完全に既存の電力系統から切り離す「オフグリッド」で運用するのではなく、系統電力で受電できる分は受け、足りない分を分散型で賄うというハイブリッドの方式である。


では、こうした分散型にはどのようなメリットがあるのか整理してみよう。まずはDC向け電力供給に至るまでの時間軸の短さが挙げられる。エネルギーソシューション本部の一色大輔・営業技術ソリューション部長は次のように説明する。


「場合によっては、(一般送配電事業者による)電力系統インフラの増強整備の時間に比べて圧倒的に早く電力供給を実現できる。早ければ3年ちょっとで供給できるようになるだろう。DC事業者にとっては、早期にビジネスを開始できるチャンスになる」

分散型のメリットを語る一色氏


大口需要が生まれることによる電力系統網の潮流全体の管理、それを踏まえた用地買収や送電網の敷設工事など、一般送配電事業者は膨大な時間をかけてインフラを整備する必要がある。それに比べてガスコージェネの場合は、DCの敷地内に設備を設置すればよく、供給までの時間軸を大幅に短縮できる算段である。


次にコージェネの発電効率の高さが挙げられる。メーカーの技術開発により、コージェネの単機当たりの大型化が進み、とりわけ1万kW近くの大型機においては、昨今では50%近くの発電効率を実現している。一定の負荷の下、一年中稼働しているDCに対して、コージェネも高い稼働率が求められる。自ずと発電効率の高い運転が可能となるわけだ。


さらに「DCは大量の熱が発生するため、冷却が欠かせない。コージェネからの排熱を排熱投入型吸収式冷温水機で冷熱に変換し冷却に利用することで、全体のエネルギー効率をさらに高めることができる。予備機を含め冗長性と信頼性も確保した設計で運用を支えられる」(同)

大型コージェネが大きな役割を果たす

DC側の弱点を補完 エネサービス事業で支援

こうしたメリットを踏まえて現在、TGESが進めているのが電源ハイブリッド型DCソリューションなのだ。


DC側の設備運営スタッフはビル管理といった建屋運用に類するノウハウは持ち合わせてはいても、発電設備などの特殊な運用ノウハウを持たないことがほとんどだという。そこに、エネルギー設備運用のプロであるTGESがサービス事業としてサポートすることで、その弱点を補完できる。


また、TGESは安定運用の体制も整備している。DCは24時間365日の安定稼働が絶対条件だ。同社の設備運用拠点である「ヘリオネットセンター(東京・江東)」を通じて24時間体制で遠隔監視を行い、トラブルの予兆検知や緊急時の出動に対応する高度な運用保守(O&M)体制を整えている。


このソリューションは、DC同様に大量の電力と熱を必要とする半導体工場などにも応用可能だ。さらにTGESでは、DC向けだけでなく、コージェネを核としたエネルギーの面的利用も視野に入れている。DCサイトの周辺に熱を利用する需要家を呼び込めば、エリア全体のエネルギー効率を高めることができる。「企業誘致を担う自治体にも、このソリューションの意義を伝えている」(同)


同社の電源ハイブリッド型DCソリューションは、単なる設備の導入にとどまらない、電力不足という社会課題に対するソリューションである。公共インフラの運用を担う一般送配電事業者の負担を減らし、DC事業者への早期電力供給を果たすことで、社会全体の三方良しを実現するソリューションとしての活用が期待される。