【特集2 分散型エネルギー事情】東急不動産が北海道内の再エネのみでDC運用

2026年7月3日

データセンター(DC)は東京や大阪などの都市部に集中している。これを補完・代替する地域として有力視されているのが北海道だ。寒冷地のため省エネ運用が可能なほか、南海トラフ地震のリスクを回避できるなどの利点がある。こうした中、東急不動産は6月、「石狩再エネデータセンター第1号」を完成させた。延床面積は約1万㎡、受電容量は1万5000kWで、6区画のテナントが入る。

寒冷地の利点を生かしたDC


特長は再生可能エネルギー100%の電力で運用する点だ。同社が主体となり、石狩市が出資する「石狩地域エネルギー合同会社」を介した電力供給スキームを採用。DCに隣接する約5000kWの太陽光発電所、さらに今後新設予定の風力発電所から自営線を使いオンサイトPPA(電力販売契約)で直接供給する。不足分は同社グループの新電力ReENE(リエネ)が扱うオフサイトPPAや、リエネ所有の銭函風力発電所(小樽市)などから環境価値を調達するなど、道内の再エネ電源から系統経由で賄う。電力料金は「中間マージンなどを削減し、大手電力と同じ価格で提供する。100%再エネという付加価値のある電力を低価格で供給できるスキームを作り上げた」と担当者は強調する。

通信にIOWNを採用 遠隔地の弱点を補う

DC内の設備は、日本データセンター協会のファシリティスタンダードで最高位となるティア4相当に準拠する。UPS(無停電電源装置)は必要台数に予備2台を加えた構成で、サーバーまでの電源経路を物理的に複数化した。停電時はUPSのバッテリーから数分間給電し、その間に非常用ガスタービン発電機が立ち上がり、48時間の継続運転が可能だ。


冷却空調は空冷方式で、1データホール当たり8台利用し、最終的に計40台を実装する計画だ。サーバーからの排熱は空調設備で回収して冷やし、再びサーバー室に送られる。DC内で空気を循環させているため、排熱を外部に放出することはないとのことだ。

空調設備で排熱を取り込み冷気を送る


通信面ではNTT東日本のIOWN構想に基づくAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)を今年8月に導入する。東京・大手町と接続して、高速・大容量・低遅延・省電力での通信を実現する。遠隔地DCの弱点を補い、災害対策用途や都市型DCとの一体利用といった新たな需要を狙う。


脱炭素先行地域である石狩市で再エネの地産地消とDC立地を一体化させた同事業は、国が掲げる「ワット・ビット連携」とDC地方分散の先行モデルとなる。GXとDXの同時実現を掲げる同社においても、試金石となる取り組みだ。