【特集2 分散型エネルギー事情】次世代ITイベントで注目 熱利用産業と一体の電力インフラ整備

2026年7月3日

IT業界向けのイベントで注目されたDCを巡るエネルギー事情。
パネルセッションでは、DCの在り方などが話し合われた。

日本最大級の規模を誇るインターネットテクノロジーの専門イベント「Interop Tokyo 2026」が6月10~12日の3日間、千葉県の幕張メッセで開かれた。同時開催の「デジタルサイネージジャパン 2026」「AI NATIVE EXPO 2026」「画像認識 AI Expo 2026」では、エネルギー業界に向けた注目の講演が目白押し。「AIネイティブ時代のインフラ戦略」「デジタルインフラと北海道」「データセンター向け電力ソリューション」「AI時代のサイバーセキュリティ最前線」「電力・熱・密度を制する新サーバー」などの講演に多くの聴講者が集まった。

東電HDが熱の有効活用に言及 寒冷地の暖房需要にメリット

中でも注目されたのが「激変するデータセンタービジネスとデジタルインフラ―AIの進化とワットビット連携―」だ。江崎浩・東京大学大学院情報理工学系研究科教授を司会に、岡本浩・東京電力ホールディングス上席フェロー、田中邦裕・さくらインターネット社長がディスカッションした。


岡本氏はデータセンター(DC)向けのエネルギー供給事情に触れながら「近年、エネルギーの地産地消という概念や取り組みが広がってきた。今後はデータの地産地消に加え、熱の地産地消という概念が必要になる」と指摘した。


この熱の地産地消とは「DCから膨大に発生する熱を有効に活用する」という視点だ。例えば、農業の温熱ハウス向けの熱利用。現状では重油を活用するケースが多いが、「DCからの熱を有効に活用できる」(岡本氏)とし、DCを集積させるだけでなく農業など熱を使う他の産業を呼び込むことを前提とした整備計画の必要性を述べた。田中社長はDC事業者として北海道での取り組みに触れ、「暖房用にDCからの排熱を使っている。暖房費はほとんどかからない」と強調。寒冷地におけるメリットを話した。


最後に岡本氏は「公共インフラである電力とともにAIやDC自体も社会に欠かせない基盤インフラになりつつある」とし、田中氏は「DCには水やエネルギーのインフラが備わっていて災害時には拠点にもなり得る。地域社会に受け入れられるDC建設や運用が一層必要になっていく」との考えを示した。

多くの人が来場し関心の高さがうかがえた