【特集2 ガス転換の潜在力】 環境対応にとどまらない 多様化する経営課題の解決策

2026年11月3日

中東情勢の緊迫化により、政府は燃料転換への支援を本格化している。
CO2排出削減に加え、多様化する産業界の課題解決策としての期待も高まる。

2050年のカーボンニュートラル(CN)達成に向け、産業界は足元のCO2排出削減策として燃料転換を推進している。今春、中東情勢が緊迫化してからはエネルギー安全保障の観点が加わり、その重要性はかつてないほど高まっている。
こうした背景から、政府も燃転を強力に後押ししている。7月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」では、「天然ガス等への燃料転換を進める」という文言を明記した。さらに、8月の第17回GX実行会議で示されたエネルギー需給構造強靱化総合パッケージ「POWERR GX(パワーGX)」では、化石燃料の調達安定性を高めるだけでなく、電化や燃転、エネルギー効率向上の抜本的な強化により、AI時代のエネルギー需給の安定化を図ることを盛り込んだ。骨太の方針による中長期的な方向性の提示と、パワーGXを通じた具体的な投資支援の双方から、燃転を加速させる構えだ。

LNGローリー車の活用が進む

地方に7割の潜在需要 サテライト供給などに商機

日本ガス協会の調査によると、将来的にクリーンエネルギーに切り替える可能性が極めて高い「潜在需要」は、年間約32億㎥に達する。しかも、その約7割が地方に集中している。都市部で都市ガスへの移行が進む一方、地方では導管の延伸やタンクローリーを活用した「LNGサテライト供給」などによる燃転の余地が大きい。今後、地方での燃転が進めば、供給側のソリューションも一層の発展を遂げるに違いない。
また、需要家が燃転に求める価値や目的が多様化している点も注目に値する。かつてはCO2排出削減という環境対応が主な目的だった。しかし昨今は、不安定な国際情勢を背景としたエネルギー調達先の多角化や深刻な労働力不足による設備メンテナンスの省力化などを求める声も聞こえてくる。いずれも現代の経営課題の解決に直結する切実なニーズだ。
今回の特集では、各地で取り組まれている燃転の具体事例を取材し、急激に変化する環境の中、技術革新とともに進化を続ける燃転の「いま」に迫る。