【特集2 ガス転換の潜在力】サテライト供給でLNGを全道へ 北海道ガスが産業用需要家の環境経営を支援
オホーツク・道北エリアの上質な生乳を原料に、業務用バターや脱脂粉乳などの乳製品を製造する明治稚内工場(北海道稚内市)。同工場では、2024年秋に製造工程の熱源としてLNGボイラーを採用した。LPガスからLNGに燃料転換した希少な事例だ。
LNGボイラーで発生させた高温・高圧の蒸気は主に、粉乳を製造する際の噴霧乾燥工程で活用される。燃料転換の検討が本格化したのは22年頃。明治グループは、GXリーグへの参画や社内炭素価格(インターナル・カーボンプライシング)制度の導入など、環境経営を重視しており、ボイラーの更新に合わせた燃料転換には、一層の環境性追求とCO2削減効果への期待があった。実際、燃料転換により16%のCO2削減効果が得られたという。
この北海道最北端の工場へのLNG供給を支えているのが、北海道ガスによるサテライト供給事業だ。石狩LNG基地(石狩市)から同工場までは300㎞を超える。車で片道5時間の距離だが、輸送には2日間の行程を採用している。1日目に旭川市の車庫から基地へ向かいLNGを充填して戻り、翌日に車庫から稚内工場へと配送するというものだ。

石狩と釧路の2拠点体制 高い供給信頼性を確保
北海道ガスは09年にサテライト事業を開始し、12年の石狩LNG基地の稼働で大規模かつ安定的な供給基盤を確立した。18年からは、他社と共同利用する「釧路LNGターミナル」からの供給も始まり、2拠点体制で豪雪など万一の災害やトラブル発生時に相互にバックアップすることで高い供給信頼性を確保している。現在の供給先は、都市ガス事業者も含め約40拠点に上る。
エンジニアリングソリューション部広域圏営業グループの小原史也係長は、「燃料転換により導入したLNG設備やボイラーなどのインフラは、将来のe―メタン(合成メタン)移行時にもそのまま使い続けることができる。低炭素化、将来の脱炭素化実現への中長期的な投資妥当性を提示することが、都市ガス導管が行き届かない遠隔地の産業用需要家を含めた、環境経営のサポートにつながっている」と強調する。
14人という少数精鋭の営業部隊で、広大なエリアに点在する潜在需要に対するきめ細やかなアプローチを展開中。今後も地域特性に応じた最適なエネルギーソリューションの提供を通じて、道内における持続可能な産業基盤の形成とカーボンニュートラルの実現に貢献していく。


