【NEDO/横河電機/日本総合研究所/東京電力ホールディングス】
国産省エネ技術の海外展開に向け、NEDOは実証事業を行っている。中国の工場で、産業用HPなど高効率機器が大きな成果を上げた。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、横河電機、日本総合研究所、東京電力ホールディングス(HD)の4者は、中国広東省の工場に産業用ヒートポンプ(HP)など、省エネ設備を導入する実証事業を行った。
この実証では、日本が強みを持つエネルギー技術およびシステムを対象に海外の環境下における有効性を実証することで、民間企業のビジネスチャンスにつなげることが目的。アルミ工場を運営する広東華昌鋁廠有限公司と、紡績工場を運営する互太(番禺)紡織印染有限公司の2工場に対して、HPやエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、エネルギー需給の高度化と生産効率を高めながら大幅な省エネを図っている。
CO2削減量は1万㎘超 ランニングコストも大幅減
実証は2017年10月から開始。工場に導入する各種設備の基本設計は、東電HDグループ会社の東電エナジーパートナー(EP)が担った。
広東省仏山市にある華昌鋁廠のアルミ工場では、建築用アルミサッシを製造している。製造過程では防錆のために電着塗装による表面処理が行われるが、塗装時に大量の熱が発生するため冷水で塗装槽を冷却しなければならない。
同社はこれまで定速機とインバーター制御のターボ冷凍機複数台を組み合わせて冷水を供給していたが、エネルギー利用の合理化を図るべく高効率のインバーターターボ冷凍機(三菱重工サーマルシステムズ製)2台と、冷温同時HP(神戸製鋼製)を6台導入した。
冷温同時HPで供給可能な温水は、電着塗装の前工程で行われる前処理工程で使用するようシステムを構築。高効率設備による冷水の供給に加え、冷温同時HPでも温水を供給するため蒸気ボイラーの稼働率を減らすことができた効果で、導入前と比較して年間一次エネルギー使用量は年換算で57%(原油換算で847㎘)、ランニングコストは実績値で年間36%(約154万元)削減した。
同工場は14年からエネルギー管理体制を確立して省エネに取り組む企業ではあるものの、この実証での削減量は過去5年間取り組んできた成果に匹敵するそうだ。