台湾最大規模のエネ展示会開催 世界20カ国・企業470社が出展

2024年11月6日

【台湾】

脱炭素に向けた取り組みが加速する台湾で10月4日から3日間、国際エネルギー展示会が開催された。

2050年ネットゼロを目指す世界の企業約470社が出展し、最新ソリューションが集結した。

中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)と、国際半導体産業協会(SEMI)傘下のグリーンエネルギー・サステナビリティ・アライアンス(GESA)が共催する「台湾国際エネルギー見本市(ENERGY TAIWAN)」および「台湾国際ネットゼロ見本市(NET ZERO TAIWAN)」が、台湾・台北市の台北南港第1展示ホールで開催された。当初は10月2日~4日の予定だったが、台風18号の影響で10月4日~6日に延期された。

台風の影響で二日遅れで開会した会場の様子

同見本市はエネルギーに関する台湾最大の展示会で、今年は世界20カ国から関連企業470社、1625のブースが出展し、昨年比30%増という過去最大の規模で実施された。日本からは、アスエネ、日本太陽光発電検査技術協会、ラスコジャパン、トーネジなどが出展した。


グリーンエネ調達のための 一気通貫枠組みを構築

今回紹介されたのは、太陽光や風力発電、蓄電池などに関する多様な最先端ソリューションだ。産官学連携の下、グリーンエネルギーへの包括的でスムーズな移行を加速させ、ソリューションのワンストップ・プラットフォーム構築に寄与することを目指している。

世界ではネットゼロを見据えた動きが強まり、各国はエネルギー転換の目標を達成するため、再生可能エネルギーの開発を加速させている。同時に、AI技術の発展により電力需要が急増する中、台湾においても半導体産業や投資の増加、電化政策などの推進もあり、2024年から28年は年平均2・5%増で推移すると経済部は予測している。世界に目を向ければ、企業は自らが事業で使用する電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ「RE100」基準への準拠を目的に、再エネ調達が最優先事項になっている。需要が供給を上回る中、エネルギー効率を維持しつつ、再エネ比率を高めていくための最先端ソリューションが集結するこの展示会に関心が集まった。中でも注目の3社を紹介する。


元晶太陽能科技股份有限公司(TSEC CORPORATION)

会場で最大規模の展示スペースを確保していたのが、元晶太陽能科技股份有限公司(TSEC CORPORATION)だ。同社は台湾を代表する太陽光発電装置製造会社で、同社のソーラーモジュールや太陽電池は欧米、アジアなど世界中で販売されている。台湾で製造されるM6以上のモジュール製品製造のパイオニアであり、同社の技術は世界市場の最先端を走っている。太陽電池に関しても、最大変換効率23・2%以上の優れたMIT太陽電池を製造している。

元晶太陽能の大きなブース

TSECの製品は高品質・高性能で複数の国際認証を取得。台湾優秀PV賞を9年連続で受賞しているだけでなく、VPC認証(台湾経済部標準検験局による認証)、IEC認証(国際電気標準会議による電子部品の品質認証)、UL認証(アメリカ保険業者安全試験所による認証)を同時に取得した業界で唯一の企業だ。


特斯拉(TESLA ENERGY)

会場内の数多くのブースの中でひときわ目を引いたのが、TESLA ENERGYだ。ブースの壁やスタッフの制服は、シンボルカラーのブラックで統一され、スタイリッシュ。同社の家庭用蓄電池Power wallは、太陽光発電による余剰電力や系統からの電力を蓄電し、電力系統の停電を検知すると、自動的に家庭への電気供給を開始する。太陽光発電システムと連携することで、停電時には太陽光で発電した電気を家庭へ供給することも可能だ。アプリを使ってリアルタイムで発電量や電力消費量を確認することもでき、エネルギー自給率を高めたり、万一への備えとして節約を最大化するなど、希望に応じて設定の調整が可能だ。テスラ製品を特徴付けるシンプル、コンパクトなデザインは、多様な住宅の外観にマッチするため人気が高い。

黒が映えるおしゃれなプレゼン


格斯科技(GUS CORPORATION)

GUSは、EVや家庭用蓄電システム(ESS)に適したパウチセルを製造するほか、顧客の要望に応じてカスタマイズしたバッテリーパックやモジュール、ESSのセットアップ一式を製造している。2023年には国内初のバッテリーギガファクトリーを開設し、海外の複数の企業とパートナー提携。電池モジュールアプリケーションの開発・統合を続け、さまざまなグリーンエネルギーアプリケーションに最先端のソリューションを共同で提供するとしている。日本市場で手を組む東芝は「日本と友好関係にある台湾を最重要顧客地域と位置付け、自社の電池技術・製品を台湾のさまざまな問題解決に役立てたいと考えている。GUSが生産する電池が、台湾のみならず、世界の環境問題の解決に貢献できると確信している」とコメントしている。

家庭用蓄電池を説明したボードの前で