【特集2】自治体や事業者と連携しサービス実証 製造業の枠超えソリューションを創出
【愛知時計電機】
愛知時計電機は、クラウド上でのデータ配信サービスを提供している。
個人情報漏えいのリスクがなく、使いやすいことから事業者に好評だ。
ガス、水道メーターの製造で国内トップシェアを誇る愛知時計電機。同社が提供する「アイチクラウド」は、スマートメーターからさまざまなデータをクラウド上に集め、事業者へインターネット経由で提供するデータ配信サービスだ。事業者にとっては高機能メーター設置による検針業務の効率化というメリットに加え、データの活用次第で新サービスの創出にもつなげることができる。

「見守り」の有効性を実証 水道・都市ガス使用量を監視
アイチクラウドが多くの事業者に選ばれている理由は主に二つある。一つは、個人情報漏えいのリスクが回避されている点だ。検針端末の番号を顧客番号にひも付けており、消費者の個人情報は登録しない。そのため、個人情報は洩れようがない仕組みとなっている。二つ目は、企業がすでに運用している基幹システムと連携しやすい構造になっている点だ。基幹システムの改修を行うことで事業者は普段使っている基幹システムを操作すれば、連動してアイチクラウドが作動する仕組みを構築できる。結果的に、事業者にとっては使いやすく、情報更新ミスも起こりにくい。
同社はすでに自治体や地域のガス事業者と連携し、スマートメーターを活用した高齢者の見守り実証実験を実施している。静岡県掛川市や御殿場市では、高齢者世帯に設置したスマートメーターを通じてクラウドに自動収集された水道・都市ガスの1時間ごとの使用量データを監視。水道使用量では、使用状況が通常と異なる状況を検知した場合に安否確認の連絡を行うサービスの有効性について検証を行った。水道とガス、二つの使用量データを重ね合わせることで人の「生活サイクル」をより精緻に把握できる。今後は、健康異変を検知するコンテンツの創出など、データの持つ価値を最大化させる取り組みにもつなげていく。
武田賢治執行役員は「今後は他社との連携を通じて製造業の枠を超えたイノベーションを実現し、社会課題の解決に貢献していく」と語る。同社は今後、流体計測技術をコアに、社会的インパクトの強いソリューションの創出に注力していく構えだ。


