【特集2】専門家交えガイドライン改定 外部接続に関する体制を強化

2025年12月3日

【一般送配電事業者】

今年度、次世代スマートメーターの導入がいよいよスタートする。
計量部の仕様統一やガイドライン改訂など、設置に向けた準備が着々と進んでいる。

現行のスマートメーターの検定有効期間満了(検満)に伴い、今年度以降、次世代スマメへの入れ替えが順次始まる。次世代スマメは、今よりも細かい計測粒度(計測する間隔)で電力使用量の把握が可能。これにより、停電の早期解消といった電力レジリエンスの強化、新サービスによる需要家の利便性向上も期待される。


こうした中、一般送配電各社では導入開始に向けた体制を着々と整えてきた。2023年6月には、次世代スマメ計量部の仕様統一を完了。現在、作業手順や設置作業に係る工事費の策定、今年度分の購買契約などを進めている段階だ。


一般送配電各社が特に重視するのが、システム全体のセキュリティーを確保すること。日本電気協会は今年2月、「スマートメーターシステムセキュリティガイドライン」を改定した。この改訂にあたり、旧一般電気事業者やスマメシステムの提供者に加え、サイバーセキュリティーの専門組織や学識経験者を交えて議論。サイバー攻撃の動向や法制度などを踏まえ、外部接続に関するセキュリティー強化、外部接続事業者との合意形成などを盛り込む内容へとバージョンアップした。

能登の復興にデータを利用 自治体対応への有効性示す

一方、現行スマメの導入による成果も上がっている。一つが設備のスリム化だ。例えば、柱上変圧器(高電圧の電気を需要家向けに低電圧に変換する装置)の容量を決める際、需要家の使用電力を30分単位で把握することで、実際の最大電力に合った容量の選定が可能になった。

             都内に設置されたスマメ


また、経済産業省は、石川県と連携し、能登半島の地震・豪雨被害を踏まえ、被災者の救出・救助、避難者の生活や復旧・復興支援などに電力データを活用する実証を実施。さらに、実際の災害対応業務に電力データを活用した石川県の事例から、その有用性を確認している。

今後は民間企業などによるビジネス展開も予想される。現状、電力データを活用するためのシステムは一般送配電事業者が所有しているスマメデータを集約するシステム、データ利用者にサービスを提供する法人が所有するシステムなどが分離しており、システムを所有する事業者がそれぞれ異なる。


今後、電力・ガス基本政策小委員会の方針の下、事業者間でのシステム統合を進めていく状況だ。これによってシステムコストの低減を図ることができれば、電力データによるサービス事業の活性化、普及拡大につながることが見込まれる。