【特集2SAF最前線】社会実装に向けて官民が連携 コスト負担の最善策とは

2026年4月3日

SAFのビジネス化を実現する上で、製造コストの高さが課題の一つだ。
有識者3人が、コスト負担の在り方などを中心に日本が進めるべき戦略を語り合った。

司会=山内弘隆(一橋大学名誉教授)
出席=大田圭(国土交通省航空局大臣官房参事官〈航空戦略担当〉)
   大塚洋(定期航空協会理事長)

山内 SAFの普及に向けた議論が行われていますが、特に国際航空分野において脱炭素化を推進するには、国際民間航空機関(ICAO)の枠組みにどう対応していくのかが、各国政府、航空会社にとって重要な課題になってきます。

大田 国内航空のCO2排出量は、運輸部門が国内の全排出量の約2割を占め、そのうちの5%程度なので、相対的にはそれほどのインパクトはありません。 

 一方、国際航空は一くくりにされており、世界の国別の排出量の11番目、12番目ぐらいになるので、脱炭素化が非常に重要になってきます。ICAOのスキームでは、2019年の排出量の85%の水準の維持を国際的なルールにしています。世界人口が増えるにしたがって航空輸送量も排出量も増える中、こうした一定水準に抑えることはとても厳しい規制です。


 これだけ厳しいにも関わらず、脱炭素の手法はわずか3点ほどしかありません。一つが、運航の改善です。例えば、最短ルートへの航路の変更、離着陸時の飛行機の角度などを積み重ねることで、脱炭素化を図っています。二つ目としては、航空機の電動化や水素航空機などの航空機新技術の取り組み。三つ目として、SAFのような燃料からのアプローチが挙げられます。

 このうち、一つ目の運航改善は、確実に成果にはつながっていますが、多大な削減効果にはなっていません。二つ目の水素航空機などはまだ技術的に先の話になります。すると、SAFの導入が一番のポイントになります。さらに、国交省ではエネルギー安全保障や地域の振興・活性化といった観点から、国産SAFの導入促進を主眼に取り組んでいるところです。

大塚 国内航空ではこれまで、地球温暖化対策計画の中で13年度を起点に30年度の排出原単位マイナス16%を目標にしてきました。その手段として、運航方式の改善や、省エネ型の航空機の導入によって、全体として年間1%程度の削減効果が得られており、目標を上回る削減実績となっています。


 ただ、カーボンニュートラル、ネットゼロを目指すとなると次元が違います。電力航空機や水素航空機も研究開発されていますが、長距離飛行は難しいと見込まれるので、やはり中核となる手段はSAFになります。また、生産地域や原料の多様化が図れるという点で、SAFはエネルギー安全保障に大きく貢献ができると考えています。


 日本の場合、人口の減少とともにEVや燃料電池車などが増え、ガソリン使用量が減っていくことが見込まれています。一方、国内航空は燃料の使用量が車よりも減らないと想定されており、国際航空はICAOなどの推計でも、アジア発着便は今後どんどん増えることが予想されています。そのため、航空燃料の確保という観点からも、ガソリンの連産品である従来型燃料に加えて国産SAFの確保が重要になってきます。

1 2 3