【記者通信】電気・ガス料金補助再開か またもバラマキに疑問相次ぐ

2026年5月10日

去る3月19日の燃料油補助金の復活に続き、政府が7~9月の期間限定で電気・ガス料金の補助を再開する方向で検討していることが、複数の関係筋の話で明らかになった。ホルムズ海峡の実質封鎖を背景にした原油・LNG価格の高騰と円安局面が続く中、電力・都市ガス会社では燃料・原料費調整制度に基づき6月ごろから電気・ガス料金の上昇が顕在化してくるため、補助金によって利用者の負担軽減を図る。予算額は今冬と同等規模の5000億円程度とされ、予備費からの投入が見込まれている。だが、単純な補助金支給を巡っては費用対効果を疑問視する見方が多い。巨額の国費を国民経済に資する形でいかに有効活用するか、政府の手腕が問われている。

業界関係者から批判相次ぐ 第1次石油危機時の対応力はどこに?

電気・ガス料金の補助事業については、ロシアのウクライナ侵攻などの影響によるLNG価格や原油価格の高騰を受け、2023年1月使用分(2月検針分)から開始。当初は一時的な措置のはずだったが、価格高騰の長期化によって24年5月まで実施された(予算額3兆7490億円)。その後、円安に伴う物価高に対応する目的で、同年8~10月に再開(同2124億円)。以降は、エネルギー使用量が増える夏場と冬場の期間限定(25年1~3月=3194億円、25年7~9月=2881億円、26年1~3月=5296億円)で、断続的に補助金を投入し、これまでの合計は5兆985億円(予算額はいずれも共同通信調べ)。燃料油の補助も含めると、エネルギー代補助の総額は14兆円超に達するとみられている。

その財源となっているのが、国の予備費だ。前年度と今年度の予備費は計約2兆円とされており、3月に再開された燃料油補助金は予備費から基金を通じて支給されている。⁠経済産業省によると、4月下旬現在で基金の残高は9800億円程度。補助金の指標となる北海ブレントの原油先物価格は100~110ドル前後で推移しており、この水準が続けば夏までに基金は底を付く可能性がある。ここに電気・ガス料金の補助が加わると、予算の枯渇が一層早まるのは確実だ。高市政権は補正予算の編成について「現時点で検討していない」としているが、いずれかの段階で補正での対応が必要になるのは避けられそうもない。

エネルギー補助金を巡っては、「単純に利用者の負担を軽減させるという意味では、それなりの効果を上げている。消費者物価指数の上昇に歯止めを掛けていることは、公表されている民間調査機関のレポートを見ればよく分かる」(永田町関係者)と、一定の評価が聞こえているのは事実だ。「特に電気・ガス代の補助は、車に乗る人と乗らない人で恩恵に格差の出るガソリンとは違う。実施する意義はあると思う」(経済誌記者)

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