【業界スクランブル/省エネ】
日本の省エネ進展に大きく貢献した、元東京電力の片倉百樹氏が78歳で亡くなられた。2012年に「ジェイテム」を起業する前までは東京電力の執行役員を務め、在職中は一貫してエネルギー営業部門に従事し、家庭・都市・産業などのあらゆる分野の省エネ推進活動に貢献してきた。
片倉氏は同分野の長い職歴から幅広い人脈を持ち、持ち前の行動力で電力業界の省エネ活動をけん引してきた。「東京電力が日本の省エネをけん引すべき」という、社会貢献の強い意志を持っていた。こうした動きがライバル業界であるガス業界や石油業界の需要側省エネ活動を促進させたことは紛れもない事実であり、結果さまざまな省エネ機器開発・普及活動が積極的に行われた。他国と異なり、エネルギー事業者が自主的に積極的な省エネ活動を行う、日本独自の状況が実現したわけだ。また、ヒートポンプ・蓄熱センターや日本エレクトロヒートセンターなどの省エネ活動をけん引し、大所高所からの困難なアイデアを実現させた。日本冷凍空調学会の会長も務め、国際活動も含めて冷凍空調業界の発展に大きく貢献した。
外野から見ていてよく思ったことがある。片倉氏はよく笑う、人間的に魅力的な方だった。この笑顔のために、部下も片倉氏の理想実現のために努力を惜しまないのだろうし、巻き込まれた他企業の人も協力を惜しまない状況が作り出されたようにも感じる。地道かつ継続的な努力が要求される日本の省エネ進展のためには、民間企業側に社会的責任として「限りある資源の節約・温暖化対策」にも経営資源を投入すべきという高い志を持つ人物が必要で、その志が伝播し広がるためには当該人物の人間性が重要となる。 突然の訃報に驚くばかりだが、氏がけん引した「単一エネルギー供給を主体とする企業群による省エネ推進」の時代が終わったような感慨がある。大所高所からエネルギー事業者の省エネ活動を考え、導いてきた片倉氏の逝去を、外野に身を置く立場ではあるが、心から悼みたい。(R)

