【オピニオン】村上千里/日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 環境委員長
第6次エネルギー基本計画(案)が9月3日パブリックコメントにかけられた。私はパブコメ終了、この計画を審議してきた審議会(総合資源エネルギー調査会・基本政策分科会)がもう一度開催されることを期待している。2050年カーボンニュートラルを目指し策定されたこの大転換期の計画を、市民はどう捉え、どのような意見を持ったのか。審議会及び経済産業省はその意見を受け止め、対応を検討する必要があると考えるからだ。
今回の基本計画改定は20年10月13日からスタートした。会議当日は経産省前に、気候危機への対策強化を訴える若者組織、FFF(Fridays For Future)がスタンディング・パフォーマンスを行っていた。筆者は19年から当審議会に消費者団体の立場で参加しているが、若者代表の委員が不在の中、彼らの声を届けることも役割のひとつと意識している。
審議会では初回、基本計画を始めNDC改定につながるさまざまな政策検討プロセスを示し、そこに市民、若者との対話や意見聴収の場を組み込むことを求めた。しかし、その後も議論プロセスは示されず、市民の声を聴く場は、需要側のヒアリングに消費者団体が1度招かれるにとどまった。また第5次の議論から導入された「意見箱」に寄せられた意見も議題となることはなかった。ただ、その意見の多くが原子力推進への懸念や反対の声であったことは、「可能な限り原発依存度を低減」という記載の堅持に影響を与えたのではないかと思われる。
第5次の第2章には「対話型の政策立案・実施プロセスを社会に定着させていく取り組みをさまざまな形で進めていくことが望まれる」と記載されているが、今回の改定プロセスではほとんど実現できなかったといわざるを得ない。
ただ、この観点から興味深かったのは6月30日、50年カーボンニュートラルのビジョンを描くべく、複数の研究機関がシナリオ分析を行った結果を持ち寄り、相互に質疑応答が行われたことだ。時間が短く十分な議論とはならなかったが、翌7月13日には各機関の分析の想定(inputなど)と結果が一覧表にまとめられ、今後も継続してこのような場がもたれることの必要性を確認することができた。難しい議論への市民参加を進めるうえで、この場は必要不可欠と考える。
さて、第6次(案)は最終行で「対話型の政策立案・実施プロセスを社会に定着させていく取り組みをさまざまな形で進めていく」と言い切った。そしてその前段には「若年層とのコミュニケーションを深めていく」ことが加筆されている。
脱炭素社会へのトランジションはどのように進めていくのか。それを考える上で最も重要な50年の社会およびエネルギーのビジョンを私たちはまだ議論できていない。今こそその第一歩を、地域で、学校で、企業で、スタートさせるときだ。そして政府のみならず、地方自治体の脱炭素計画を検討していくプロセスにも、必ず市民と若者の参画を位置付けることを提案したい。










