A 1997年の液化石油ガス法改正に伴う規制緩和により、さまざまな弊害が出てきたことは事実。2017年の改正で、需要家に貸与している設備があるのであれば、ガスとは別建てでその料金を表示する「三部料金」を採用することをガイドラインに定めたが、それ以降も多くの事業者が基本料金と従量料金の区別すらせずに請求していて三部料金どころの話ではないのが実情だ。
B プロパン市場は、需要家1軒当たりの使用量やコスト、強い影響力を持つ事業者―いわゆるチャンピオンがいるのかなど、地域の状況に応じて競争環境が全く違う。当然内包している問題も、高い料金であったり、不当廉売に近い極端に安い料金であったり、業者間で価格統制が行われていたりとまちまちだ。しかし問題の根本は同じで、不健全な市場であるということにほかならない。
C この問題は非常にやっかい。元売り事業者としても、激戦のエリアに系列の事業者がいたり、場合によっては争奪戦を繰り広げる双方に供給していたりして下手に口を挟めば大変なことになってしまう。
―17年の省令改正後も、料金は不透明なまま、取引の適正化もあまり図られなかったということか。
A 大手を含むプロパン業者の動きの鈍さから察するに、経済産業省・資源エネルギー庁も本気ではなかったのだろう。料金をきちんと説明しなければ立ち入ると警告していたにもかかわらず、結局どの業者にも立ち入ることはなかった。プロパン料金は自由であり、誰にどのような料金水準で販売しようが業者の裁量の範囲だ。料金にガスの仕入れにかかわるコストだけではなく設備費用を上乗せすることも自由であり、結局、これを制限する手段は今のところ消費者の「買わない」という判断しかない。
B とりわけ北海道がクローズアップされるのは、ほかのエリアよりもプロパン料金が高いという市場の特殊性がある。北海道の業者がよく言うのは、冬の間は雪かきをしてからボンベを交換しなければならないということ。暖房は灯油がメインだからプロパンの使用量は少ないにもかかわらず、配送にかかる時間や手間は本州とは比べ物にならないし、彼らだって冬の間は配送に行きたくないというのが本音だ。地域によってマーケットの状況が異なる中で、一律に規制をかけることは非常に難しい。
C 三部料金にすれば解決するだろうということだったのかもしれないが、現場にとっては相当手間がかかって大変な作業だ。賃貸集合物件の場合、物件の償却の期限によって料金が変わってしまうから、現実問題として対応しきれないよ。首都圏の場合は、都市ガスの導管網の延長に合わせてそれに対抗するためにこうした商慣行の問題が出てきたわけで、歴史的な経過が積み重なった結果として今の状況があるわけだから、そう簡単に小手先の方法で解決できるわけがない。