巨大なビジネスチャンスを提示 企業・団体が最先端技術を出展

2022年10月13日

【スマートエネルギーWeek秋2022】

最先端のエネルギー関連技術に触れようと、全国から多くの来場者が詰めかけた。

電気料金の高騰が、再生可能エネルギーを巡るビジネスへの関心を高めている。

 国内外のエネルギー関連団体や企業が集まる日本最大級の総合展示会「スマートエネルギーWeek秋2022」が、8月31日から9月2日まで千葉県の幕張メッセで開かれた。380の企業や団体が最先端技術を出展し、3日間で約3万人が来場。再エネビジネスの関心の高さを浮き彫りにした。

3日間で約3万人が来場した

会場は七つの展示ゾーンで構成。2050年カーボンニュートラル(CN)実現に向け、主力電源としての期待される洋上風力発電「WIND EXPO 風力発電展」では、関係者によるセミナーのほか、風力発電所の建設、保守運用などで技術を持つ企業団体が出展した。来場者からは「国の後押しもあり見通しは明るい」(船舶業界関係者)と期待の声が聞こえる一方で、「日本は風車の大型化が進み大量生産には向かない。技術力を示して海外企業にアピールしないと儲けにはつながらない」(塗装メーカー関係者)と冷静な意見も聞こえた。

SEP船で大型風車を設置 洋上風力の競争力高める

「適地が限られる日本で洋上風力を進めるなら、大型化は必須」と話すのは、海洋土木工事を多く手掛ける五洋建設洋上風力事業本部の島田遼太郎氏だ。国内で初めて大型クレーンを搭載した800t吊の自己昇降式作業台船(SEP船)を投入するなど、今後は風車の大型化に対応した1600t吊のSEP船を23年4月稼働に向けて建造中だ。島田氏は「1600t吊のSEP船が完成すれば、1万5000kW級の着床式洋上風力設置工事にも対応できる」と話す。五洋建設は今後3籍のSEP船を保有し、海底ケーブル敷設や1万5000kW級洋上風力建設の競争力を高める構えだ。

大型化する洋上風力事業に企業も対応

そのほか、三菱重工業グループでは、浮体式洋上風力技術の一般化に向け、福島浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業を推進。こちらも1万5000kW級といった風車の大型化に対応する。三菱造船の小松正夫海洋開発担当部長は「3~4年後にも洋上風力は浮体式が世界標準になると予測している」と話す。三菱造船の手掛けるフロート技術は既存造船所の設備を活用でき、港湾の作業が可能なため、日本の海岸での製造に適しているという。将来的には曳航可能な浮体式の利点を生かしてアジア各国で市場拡大を目指す。

国際エネルギー機関(IEA)によると、洋上風力市場は、40年には全世界から120兆円超の投資が見込まれるという。特にアジア市場は欧州とは海の形状や気象条件が異なり、現在の風車設計の中心である欧州とは違う技術コンセプトが求められる。

企業にニーズ高い蓄電池 海外メーカーも市場参入

洋上風力のほかに来場者の関心を集めたのが、二次電池や太陽光発電のゾーンに展示された蓄電システムだ。蓄電システムは蓄電池とパワーコンディショナーが一体となり、電気を蓄え、必要に応じてその電気を利用できる。大型の蓄電システムは、コンビニやホテルなどの施設にソーラーパネルを設置する企業のニーズが高い。企業の蓄電池導入は、国や地方自治体の補助金も手厚い。

日本の蓄電池市場に海外メーカーも注目

現在、蓄電池システムは村田製作所やパナソニック、京セラなど電機メーカー大手が販売しているが、新たに参入するのが中国のファーウェイだ。年末を目途に、スマート産業用蓄電システムの発売を予定している。担当者は「用意したパンフレットがなくなりそう」とうれしい悲鳴を上げる。

家庭用の蓄電システムを展示したのは、台湾のプラスチックジャパンニューエナジーだ。化学分野や半導体分野で世界トップクラスの大型複合企業グループで、日本での家庭用蓄電システムの販売について7月、双日と総代理店契約を締結。秋から販売を開始する。双日の蓄電システム担当者は「昨年夏から、『(再エネ電気は)売っても安いので貯めたい』という声が増えている」と話す。 

ここで重要なのが、蓄電池を導入したとして、採算が取れるのかという問題だ。住宅で蓄電池を導入するには、100万円以上の費用がかかることが多いうえ、蓄電池の寿命は、10~15年ほどとされる。

国内最大級の蓄電池専門ECサービス「丸紅エネブル蓄電池」の試算では、太陽光パネルを設置している一般家庭で蓄電池を導入、自家消費率を30%から70%まで向上させた場合でも、電気料金の年間削減額はわずか3・5数千円程度にとどまる。この状況を見越して補助金が交付されているが、補助金を利用して導入費を抑えたとしても、初期費用を回収できるかどうかは微妙だ。とはいえ、電気料金の高騰トレンドが続くと見て蓄電システムの導入を検討する家庭もあり、22年以降、今回取材した各メーカーには見積もり依頼が急増しているという。災害や停電時の非常電源として利用するメリットも考慮したケースもある。

企業、家庭ともに、蓄電池を求めているのは採算上のメリットだけが理由ではない。企業であれば脱炭素経営に取り組むため、家庭であれば災害への備えや、サステナブルな生き方をするためなど、金銭だけでは計れない価値のために脱炭素を選択する。そして、そこに巨大なビジネスチャンスが生まれようとしている―。今回の総合展では、そのうねりを体感することができた。